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高知大学 理学部物質科学科 物質基礎科学コース 機能物性化学研究室 助教授 島内 理恵 氏 |
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【研究室概要】 住所/高知市曙町2-5-1 TEL・FAX/088-844-8302 |
エネルギー技術をささえるセラミックス材料の開発 セラミックスといえば昔は壺やお茶碗などのことでした。でも今は電気的・磁気的に優れた性質を持つニューセラミックスが多数 私たちの身近で活躍しています。
当研究室では、その中でも、固体電池の電解質材料として有望なイオン伝導性セラミックス(固体電解質)を中心に研究をおこ なっています。1.イオン伝導性セラミックスの開発−電力用電池材料を目指して−
電気は貯めておくことができません。発電所は真夏など電力消費ピーク時には100%稼働していますが、それ以外の時は稼働率が 落ちます。
電気を貯蔵できれば、消費が少ない時期に余分に発電して貯め、必要な時期に取り出して使えます。発電所の数も減らせます。電力 貯蔵技術は地球規模の省エネだと言えます。
電力貯蔵技術は様々研究されていますが、特に注目されているのがナトリウムNa−硫黄(NAS)電池です。
NAS電池は約300℃で作動する高温型の2次電池です。従来の鉛蓄電池に比べて約1/3の重量とスペースで非常に高い効率で稼働し ます。
電極は金属Naと硫黄ですが、作動温度では両方とも液体になっています。この時、液体である電極物質を分離しNaイオンだけを通す 材料が必要です。それを可能にするのが、イオン伝導性セラミックスです。 当研究室では
- 水熱法によるNASICON型結晶構造を持つ物質の合成を行いました。従来よりも1.短時間で2.多様な化学組成を持つ3.焼結性 に優れたイオン伝導性粉末を開発できました。
- またNaイオン伝導性は結晶構造とNaの量に密接に関係していることを理論的に明らかにしました。
- NASICON型物質に関する研究の発展として、固体の中をNaイオンの代わりに水素イオンが自由に動く、新しい「水素イオン伝導体」 セラミックスを開発しました。これは電力用の固体電解質型燃料電池(SOFC)への応用が期待されます。
2.物性を生み出す秘密を解明する−固体の結晶構造の解析と分子動力学シミュレーション− こういったイオン伝導性などの物性の秘密にせまるために、私たちは二つのアプローチを用いています。 一つは粉末X線回折法を用いたRietveld解析です。これは粉末あるいは多結晶物質の結晶構造を解明できる手法です。もう一つは分子 動力学法シミュレーションです。上記解析により得られた結晶構造をモデリングし、その条件でどんな粒子の配置や移動があり得るのか をパソコンを使ってシミュレートします。こうした手法を用いて、イオン伝導機構を明らかにすることができます。
私達が目指す未来のセラミックス
より高機能な電池を完成するためには、まだ多くの仮題があります。よりイオンが移動しやすい物質は?1価ではなく多価のイオンは 動かせないか?そのための結晶構造の制御法は?さらに緻密なセラミックスを作るための条件は?そのための研究をこれからも進めてま いります。
また最近は高知の伝統産業であるサンゴ粉末を利用したセラミックスの研究も立ち上げつつあります。「明日の地球を救うのは我々だ」 これが当研究室の合い言葉です。未来のエネルギー技術をささえる材料開発を目指して、学生・院生諸君と共に、これからも研究を続 けていきたいと思っています。