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| 【講師プロフィール】 1961年島根県生まれ。タウン誌編集長、広告代理店プランナーを経て、90年、さとうみどり(現取締役副社長)と広島市で 女性の企業集団、ハー・ストーリィを設立。全国約10万人の主婦をインターネットで組織化し、日々、女性の声を集め、 「今」と「未来」を予測し、これからの中小企業のあり方をコンサルティングしている。近年では、女性のクチコミを利用した 『クチコミュニティ(R)・マーケティング』という新たなビジネスモデルを提唱し、女性が集まる企業ブランド戦略を得意と している。 |
創業のきっかけ
私の会社は1990年創業で、「主婦の声を社会に届ける広告会社をつくりたい」と思ったのです。そこで1人の意見より数だと思い まして、数を持っている広告代理会社をつくろうと思いました。「あなたの声を企業に届けます。時々サンプルももらえるかもよ」 というチラシを幼稚園や保育園の前でどんどん配りました。そのときに、最初にここで口コミという言葉に出合うのです。1人の人 が、ご近所の人とゴミ出しや幼稚園バスに子供を乗せるときに、「私さあ、こんなところに登録してて、モニターとかアンケートし たらお金もらえちゃうのよ」と言うんですね。そうしたらばあっと広がって、なるほど口コミはすごいと思いました。「どうやらハ ー・ストーリィという主婦に強い会社があるらしい」といううわさが広島の中で広がっていき、成長していきました。仕事が来なけ れば生み出せ、人は増えるぞ、有名になるぞ、新聞には出るぞ。行け行けどんどんのワンマンで、自分のやり方は正しくて、人の言 っているアイデアは大したことがなくて、そう思ってやってきて、初年度が2,000万円から始まって、8,000万、9,000万円となりまし た。
リアルからネットへ億という単位が見えてきたときの春3月末に朝1本の電話がかかりました。スーパーのチェーン店で、私どもが料理メニューやチ ラシのデザイン、企画をすべてしていました。「日野さん、ごめん。会社を閉めるわ。ダイエーやイトーヨーカ堂やいっぱい来てね、 地方のスーパーは駄目だわ。お世話になったね」と言われました。これは年間取引高が3,000万円ぐらいありました。夕方もう1本 電話が鳴りました。婦人服チェーンでまたここが「15店ある店の半分を閉める。お世話になりました」。大口の半分ぐらいが同じ日 に、奇跡のような話ですが「ごめんね」と言われたのです。私はばかじゃないと思いました。自分だけ行け行けどんどんしていて、 私は広告マーケティング屋なのにお客様が倒産したり、閉めると言ったのです。ものすごい恥です。
この後どうするか。税理士さんに電話をしましたら、「社長、道は2つに1つ。1つは、今担当していた仕事のスタッフを全員解 雇し、ワンルームマンションに戻って、ゼロから始めなさい。もう1つは、会社のお金が続く、あと、3ヵ月か4ヵ月以内に、消え た5,000万円以上の額をあなたが取ってくることです。」
どうしようもなくなったとき、私が立っていた場所は本屋でした。よく成功したいという方にお伝えするのですが、 成功したいときには、成功しているビジネスモデルをたくさん見る。それは同業に限らず、業界を超えて見 るということです。私は本屋さんでインターネットビジネスを見たときに、今からやっていても遅いし、私はインターネ ットが分からないので、一番近そうなジャンルを探したのです。インターネットマーケティングという言葉です。マーケティング広告 は分かる。分かる範囲が50%でもある分野を探そうと思いました。これがニュービジネスを探すときのヒン トです。自分が分からない分野に飛び込むのは、今の時代は追いつかないです。ベースには強い分野があって、加工するというほうが 早いのです。
当時私が見た本に、ネットショップで1億円を上げるという明太子のふくやさんがインターネットマーケティングシステムを導入し ているという文章があったんです。それをつくっている会社が福岡のペンシルという会社でした。
とにかくこの人に会いたいと思いました。飛ぶ鳥を落とす勢いでマスコミを騒がしていたので、「大変ご多忙だと思いますので、1 時間30万円お支払いしますのでお会いいただけませんか」というメールを出しました。時間を買うのは金で す。この投資をけちっている人は絶対大きくなれません。人のノウハウというのは、1年かけて自分がこつこつ本を買って勉強するよ りも生声で直接1時間聞いたほうが一瞬にして覚えます。まずこのときに衝撃の言葉を聞きました。「日野さん、ラッキー だよな。主婦が3,000人いるんだろう。インターネットってさあ、今はビジネスマンのツールだけれども、これってね、インフラになる んだ」「主婦を組織してネット上でやっている会社は、今ほとんどいないし、注目を集めていないからさっさとやれよ」という話だっ たんです。どうやっていいか分からないのに、私はワクワクしました。
でも、この話を今つぶれるかもしれないという空気の中で私が伝えたら、社長は狂ったのかと思われると思ったので、「すいません。 今の話をうちの社員に話してくれませんか。30万円払います」と言って、すぐ広島に連れてきて、同じ話をもう一回レクチャーしても らったのです。そうしたらみんな変わりました。いい話は自分が人に伝えた段階で6割ぐらい落ちています。 本当にみんなをワクワクさせたかったら、せめてビデオでもいいし、直接お金を払って呼んだほうがいいです。伝達というのは駄目です。
聞きかじりで覚えた勉強をして、私は1ヵ月以内に広島中の企業を回りました。きのうまで広告を売っていた女が、経験もないのに 「ホームページをつくります。」と、本当に無謀だと思いますが、10社やったときに、広島でホームページをつくる会社がほとんどない ので、あっという間に法人のホームページをつくるようになりました。また女性というのは、とてもまじめなので問題点を全部記録して いくのです。議事録を取ったり、Q&Aを取ったり、マニュアルをつくるのが女性は天才です。彼女たちはどんどん商品にしてウェブマ ニュアルとか、メルマガマニュアルとか、広報マニュアルと社内にいっぱいあります。こういうのが常に更新されていきます。うそのよ うな話ですが、決算の6月までのたった3ヵ月で7,000万円分稼ぎました。
10年目から13年目の課題解決会員が全国規模になり、ネットマーケティングをした途端に、取引先が東京や大阪から入ってくるようになりました。ところが組織が ついていかない。東京のクライアントとメールだけで商売ができるなんてそんなことはありません。会わないといけないのです。小さな 子供を抱えた人に「全国に行け」と言うと、お父さんたちが「ハー・ストーリィを辞めさせてくれ。うちの女房はこんなに働かせるため におたくの社員にしたんじゃない」と。自分の組織を変えるときがきました。私は悩みました。「私にも夫がいて子供もいる。社員にも 既婚者が多い。でもビジネスは外からいっぱい来る。ハー・ストーリィのしたい夢はある。やれるチャンスも来た。どっちへ行く」と。 このときに、やっぱりしたことは、私以上に優秀な人の話を聞こうということでした。
必ず商売というのは、踊り場が来ます。踊り場が来て、ふっと上がるのです。この「ふっと」いうのがひら めきや出会いです。それは自分がいつもいる場所では出てきません。自分よりも上を走っている人に会うこと。例えば5人の 社員がいたら10人の社員がいる人。売上が3,000万円の方は5,000万円の方に会う。そうすると全然違うことをやっているのが分かります。
船井総合研究所のセミナーを主催していた方が五十棲さんというコンサルタントです。学びたい、なんとか会いたいと思って、この方 に自分からファクスしました。ものすごくワクワクするタイプの方で、私の常識を壊してしまいまして、お金がないのにいつの間にかは んこを押していました。
そんなことをして会社がふっと変わりました。マーケティングとマネジメントが経営者の仕事だということが分かりました。ワンマン ですから、私が稼いで、私が営業して、みんなはサポートする。私が忙しくて、私が寝なくて、みんながサポートする。ずっとこうでし た。でも組織というのは、そうではないんだというのが10年目で分かりました。私は売らないということを彼に教えていただきまして、 組織マネジメントということを覚えました。
具体的に何をしたかというと、5年後自分の会社はどうあるべきかという理想の絵を描くんです。売上はどれぐらいなのか。人はどれ ぐらいいるのか。粗利はどれぐらいか。そういうことを計算していきます。そうすると売上が3倍になっているとしたら今の事務所でい いのか。いろいろなことが見えてきます。未来を決めるという方法です。例えば、人が20人になるという理想を描きます。では毎年何人 採っていったら20人になるかということを実行するのです。いろいろなことに勇気が要りましたけど、やり方を全部変えていきました。
13年目〜15年目の課題と解決
ただ、ここでまた神様が罰をくれました。2002年、社員が4人乗っている車が事故を起こしまして1人は死亡しました。これは本当に つらかったです。このときに、女の子だけの会社で運転で全国を駆け回っているリスク。それから例えばオフィスに変な酔っぱらいの男 の人が入ってくる、暴漢が入ってくる、こういうことに対するセキュリティー。保険、福利厚生、人を雇用するリスクの大きさに押しつ ぶされそうになりました。そのときにかなりナーバスになりました。
その結果、また吹っ切れていくのは、やはり誰かがしなくてはいけない、誰かが志を持ってしなければ多くの人はしない。それをやり たいかどうかということでやってきました。
現在会社は15年目になりました。組織図を私は3ヵ月に1回変えています。社員の採用は3ヵ月ごとに計画してやっています。 たまたま人が辞めたからとか、たまたま何かがあったからという、「たまたま」は駄目です。全部計画的に しておいても今の世の中は裏切られることがいっぱいあるわけです。
特に今は1年で消費者が大きく変わります。ハー・ストーリィは主婦の組織ですが、現在日本の30代の男女の未婚率が30%を超えてい ます。するとファミリーとか世帯という言葉は死語になります。個人の人たちがライフスタイルを持ってどう生きるかという社会に変わ ったときに、依頼主の相談が変わるし、ハー・ストーリィの組織も変わることが見えます。だからどうするのかということを毎日私たち は考えています。