大学研究室紹介

高知女子大学
看護学部看護学科
在宅老人看護学領域

 助教授 森下 安子

森下氏


 「高齢者がその人らしく自立して生活することを支援する 「ケアマネジメント」を目指して」
 現在、私の研究室では、高齢者ケアの実践現場の方々及びニッポン高度紙の皆様方と「高知ケアマネジメント研究会」を今年1月にたちあげ、産ー学ー実(践)が協働した研究活動に取り組んでいます。 この研究会では、私が取り組んでいる研究テーマである「ケアマネジメント」について検討しています。


「ケアマネジメント」とは

 「ケアマネジメント」とは、アメリカで誕生した考え方で、障害や疾病とともに地域で生活している人々を支援することを目的とするものです。 つまり、老化や病気のために健康状態が悪化したり、あるいは要介護状態になっても、その方や家族が望んでいる暮らしを実現し、 その方の価値観や生活観をより健康な方向へと支援すること、自立して生き生きと住み慣れた地域で生活していくことを支援する考え方です。 さらには、その対象者や家族への個別援助に限るのではなく、地域をも巻きこんだ総合的地域ケアへと発展していく 「だれでもが最後までその地域で生活することができる」“町づくり”の視点を含んだ活動をも含んだ幅広い活動をもさします。 ここでは、「高知ケアマネジメント研究会」に焦点をあててご説明します。
図


「高知ケアマネジメント研究会」について  「高知県の課題」

 まず、「高知ケアマネジメント研究会」が誕生した背景についてご紹介します。ここには、「高知」と「介護保険制度」「ケアマネジメント」 の3つのキーワードがあります。「高知」については皆様もご存じのように、高知県の高齢化率は平成17年度(市町村推計)は25.1%と全国より高く、 さらに高齢単身世帯の割合も高率であり、高知県において高齢者対策は非常に重要な課題です。


「介護保険制度の現状と課題」

 つぎに「介護保険制度」の現状と課題について説明します。介護保険制度は、2000年度に自立と在宅生活の継続の支援を理念とし誕生しましたが、 要介護認定者は、この5年間で約206万人増加し、1.9倍となっております。また、認定者の増加に伴って介護サービスの利用も大幅に進み、 介護保険に要する総費用は、平成12年度においては、3.6兆円、平成16年度では、6.3兆円と毎年10%を超える伸びで膨らんでいます。このように、 高齢化の進行や制度のさらなる浸透・定着に伴い、介護保険に要する費用は今後とも増加していくことが見込まれています。しかし、介護給付費の急激な増加は、 国・都道府県・市町村の財政を圧迫し、被保険者が支払う介護保険料の高騰という課題に遭遇しています。 また、特に軽度者へのサービス提供が心身の状態の維持・改善に必ずしもつながっていないことや、多額の費用を要する入所施設への利用希望が依然として高いことなど、 高齢者の自立支援、在宅生活の継続につながっていないという結果も明らかになりました。これらの課題を受け、早速今年10月から制度が改革されます。


「ケアマネジメント」の課題

 これらの課題の要因の一つとして、私たちが研究テーマである「ケアマネジメント」があげられます。 介護保険制度における「ケアマネジメント」では、「自立」とはなにか、自立を支援するためには、ケアマネジャーはどのような視点を重視しないといけないのか、 充分議論することがなく進んできたことにより、ケアマネジメントが十分機能しなかったことがあげられるでしょう。


今年度のケアマネジメント研究会の活動について

 「ケアマネジメント研究会」では、要介護状態にある在宅高齢者の視点にたった「QOLの向上」と「介護予防」に有効となる新たな高齢者ケアのあり方について開発し、 さらに実践現場に活用可能な具体的な手法を提案するために、既に事例検討会を計4回開催しました。今後、さらに事例に適用させながら、洗練化をはかり、 「自立と在宅生活の継続を支援するケアマネジメントのガイドライン」を作成する予定です。また、これらの結果を受け、産(企業)が中心となってケアの 質向上に向けたコンピュターソフトプログラムの開発を行っていく予定となっています。
 今後も、産ー学ー実(践)が協働する研究活動を推進することにより、実践現場に活用していただけるよう、 また高知県民の方々の健康的な生活の実現に反映できることを目指して、取り組んでいきたいと思っています。