大学研究室紹介

高知工科大学
物質環境システム工学教室

 助教授 有賀 修

有賀氏


微生物を活用

 酵素や微生物を固定化し、バイオリアクターを用いて有用物質を効率的に生産するシステムを研究する分野を生物化学工学と言います。 これが私の専門分野であり、微生物や酵素を用いた有用物質生産や廃棄物処理の研究を行っています。 現在行っている研究は@寒天オリゴ糖の生産、A光合成細菌を使った有用物質生産、B赤潮の泡沫分離、C酵素による同時加水分解合成反応の4テーマです。 少しでも興味を持って頂くために簡単に研究テーマの内容を説明させて頂きます。
図


1.寒天オリゴ糖の生産

 最近テレビで寒天の有用性が放送されて、寒天が手に入らないようになっているようですが、寒天オリゴ糖の研究は3年程前に始めました。 寒天はガラクトースとアンヒドロガラクトースという糖が交互に長く結合した多糖ですが、寒天を分解して得られる寒天オリゴ糖に抗ガン性やリュウマチ抑制効果などの 有用性が報告されています。これまでに、寒天を分解代謝できる微生物の単離を行い、寒天分解酵素を分離精製することなく、 二糖であるネオアガロビオースを選択的に生産する方法を開発しました。ネオアガロビオースの保湿性と美白に関しては化粧品会社が報告しており、 ネオアガロビオースを簡単に生産できる方法は有用だと考えています。今後、寒天オリゴ糖の有用性についても調べて行きたいと思っています。


2.光合成細菌を使った有機性廃水からの有用物質生産

 有機性廃水の嫌気性処理では有機物は嫌気性微生物により酢酸などの低級脂肪酸に分解された後、メタン細菌によりメタンに変換されます。 しかし、メタン生成には長時間を必要とします。光合成細菌の一種であるRhodococcus属細菌は様々な代謝産物を生産することが知られており、 低級脂肪酸を資化できる光合成細菌を使うことにより有機性廃水から有用物質を生産できると考えました。 現在、分譲されたRhodococcus属細菌の中から酢酸から界面活性物質を生産するRhodococcus属細菌を見いだし、界面活性物質の生産を検討しています。 界面活性物質は産業のあらゆる分野で利用されていますが、微生物の生産する生分解性界面活性物質は注目されています。


3.赤潮の泡沫分離

 赤潮の発生は現在予測できないため、赤潮が発生した場合、有効な対策はありません。研究としては赤潮プランクトンを殺藻性細菌やウイルス、 超音波で破壊するなどの方法が研究されていますが、死滅した細胞からの窒素やリンなどにより、再び赤潮が発生してしまいます。 そこで赤潮が発生した時、赤潮を気泡で除去することを研究し始めました。これは泡が有機物を吸着することを利用したもので、 赤潮プランクトンを付着した泡だけを回収することにより赤潮を除去しようとする方法です。如何に赤潮プランクトンを含む海水を泡立たせるか、 また、効率よく赤潮プランクトンを付着できる担体についても検討しています。


4.酵素による同時加水分解合成反応

 「ケアマネジメント研究会」では、要介護状態にある在宅高齢者の視点にたった「QOLの向上」と「介護予防」に有効となる新たな高齢者ケアのあり方について開発し、 さらに実践現場に活用可能な具体的な手法を提案するために、既に事例検討会を計4回開催しました。今後、さらに事例に適用させながら、洗練化をはかり、 「自立と在宅生活の継続を支援するケアマネジメントのガイドライン」を作成する予定です。また、これらの結果を受け、産(企業)が中心となってケアの 質向上に向けたコンピュターソフトプログラムの開発を行っていく予定となっています。
 今後も、産ー学ー実(践)が協働する研究活動を推進することにより、実践現場に活用していただけるよう、 また高知県民の方々の健康的な生活の実現に反映できることを目指して、取り組んでいきたいと思っています。