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高知工業高等専門学校 建設システム工学科 助教授 岡田 将治 氏 |
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TEL・FAX/088-864-5654 |
今年度の4月から高知高専に着任いたしました。専門は河川工学です。
生まれが高知県土佐清水市だったこともあり、小さい頃に外で遊ぶと言えば、海で魚を釣ったり、川でテナガエビをチャンで突いたりすることでした。 そのような環境で育ったせいか、私の「川」の原風景は子供たちが楽しく遊んでいる姿ですが、その一方で台風や豪雨による洪水や土砂災害の姿も目に 焼きついています。平成元年に高知高専土木工学科に入学し、阪神・淡路大震災、広島豪雨災害、98年の高知豪雨災害や2001年西南豪雨災害を目の当 たりにした経験から、自然の力にはかなわないけれども、知恵を絞っていかに人命、財産の被害を軽減させるかを「信念」として川を研究する道に進み ました。昨年は日本本土に過去最高の10個の台風が上陸し、各地で堤防が決壊する等の被害が起こりました。今年度は当初、渇水問題で早明浦ダムの貯水率 がゼロの日が続くと思えば、9月の台風14号により、四万十川の具同では過去2番目の水位を記録しました。地球温暖化等の影響により気候変動が大き く、渇水と大雨が頻発する中で今後の河川の洪水対策はさらに重要な課題となっています。
高知県においては、台風の常襲地帯であるとともに、年間降水量が山間部では3000mmを超える地域もあるうえ、南海大地震・東南海地震の発生による 大きな被害も想定されています。このような背景から、高知大学、高知女子大学、高知工科大学、高知高専の各専門分野の研究者が協力し、災害が生じ た場合の調査、迅速な災害復旧のための支援、技術的・制度的な助言、防災システムにとって有用な知見を提案することを目的とした「高知県災害対応 支援チーム」が8月に結成されました。私も河川災害対応支援チームに所属し、このチームの最初の活動として、9月に起きた台風14号による四万十川 の被害調査を行い、今後の降雨量からの洪水予測、情報伝達、避難勧告のための基準作り等へ生かすためのデータ整理、分析を行っております。
以下、現在進めているテーマおよび今後、重点的に取り組んでいきたいテーマについてご紹介いたします。。1、地震や洪水に強い堤防設計の研究
河川堤防の総延長は日本国内だけでも何万キロメートルにもおよび、地震や洪水に強い堤防作りは洪水被害から人命や財産を守る最も重要な課題です。 特に2004年10月に起きた新潟県中越地震では、地震発生前後に台風23号、24号が日本本土へ上陸、接近するなど地震と洪水が同時期に起きた際の 危機管理の重要性を提起した事例ではないかと思います。災害に強い堤防設計にはこれまでの河川工学だけでなく、地盤工学等の複合的な専門分野の知 識が必要となります。そのため、昨年筆者らが土木学会関東支部新潟県中越地震災害調査団(河川施設担当)として現地調査を行ったデータに基づいて、 同じ基礎地盤でも堤防被害が異なる地点の構造物による被害軽減効果の検討を共同で進めております。
図-1 洪水中の河川流量観測風景と測定した河川横断面刑状および流速分布(利根川にて2004年10月22日 台風23号)2、水理現象の解明と流況測定技術の高精度化 降った雨が河川に流入し、海まで流れる過程において、各地点でどの程度まで水位が上昇するか等の洪水予測を行ううえで高精度の計測技術が不可欠 です。当研究室では、超音波技術を利用した高精度の流量観測法の開発を進めております。(図1参照)この測定法では超音波の反射強度の大きい河床面 を同時に測定できることから橋上から、あるいは測定器をボートに搭載して横断方向に移動することにより、河川の流量をリアルタイムに把握することが 可能です。これらの観測データに基づいて、水路実験や数値解析を行い、洪水中の水理現象の解明を行っています。
3、高知県の災害データベース、防災情報ネットワークの構築 以下は将来的に取り組んでいきたいテーマです。
高知高専の卒業生の多くが高知県内に残り、技術者として高知県、各市町村、企業等で活躍されています。地域連携、地域防災力の向上を図るうえで、 卒業生のネットワークを活用し、GIS等を用いた高知県内の過去の災害と災害時の対応事例等を集約した情報データベースの構築を進めていきたいと考えて おります。災害情報を集約化することにより、災害が起こった際の迅速な対応につなげるものです。これらの情報、データを整理・分析するのは、高知県 出身者が90%以上を占める高知高専の学生によって教員の指導の下でインターンシップや卒業研究、共同研究等を活用して進めていきます。学生が生まれ 育った場所の災害について調べ、災害の怖さ、防災・減災活動の必要性を再認識し、さらにまとめた成果を両親や友人ら住民の方に発表することによって、 地域に根ざした防災教育、地域防災力の向上を図っていきたいと考えております。