中澤氏
四国管財株式会社
代表取締役

中澤清一氏
第2回経営革新セミナー 第2部


ピードを失うのをやめようということで、管理職の一応名前はあります、給料も当然違いますが、情報に対しては、お客様係とその他のスタッフだけで すべて情報が行くようにしました。私は今ここへ来ていますが報・連・相ができていますから100%近い内容が対応できます。
 個人に仕事をつけないように努力をしています。例えばお掃除の担当のAさんあてに電話がかかってくると、その人がいなければ仕事が止まってしま うわけです。「Aは、今日休んでいますが、何でしょうか」と代わりに話を聞けば、お客さんは二度と電話をする必要がないわけです。個人に仕事をつ けてしまうとその方が休んだり、もし辞めてしまったり、何かあったときに会社の質が落ちるわけです。私が死んでも会社が変わらないようにするのが 組織だと思っています。現在は「365日24時間いつでも電話してください」としています。6時以降はお客様係がメーンで転送電話を持つようにしてい ます。
 ただ報・連・相が上がってくるのは、なかなか難しいです。経営に対する哲学を明確に持って、それを実践していかなければ駄目なわけです。そこで、 5年くらい前でしたが日本経営品質賞に出会いました。経営品質賞のいいところは、血液検査と一緒なのです。この部門についてお宅は何点だというこ とがすべて出ます。うちの会社の強み、弱みがすべて出てくるわけです。「何となく自分の会社はいい」ではなしに、「今、どことどこがいい、どこの 段階に来ているか」が分かっていないと成長できないのです。それをやっている中で「すべてを数値化して物事を考えて進めていったらいいよ」という キーワードに出会いました。


経営革新セミナー ・連・相を上げるためにはどうするかを悩んできました。10人単位ぐらいでミニミーティングを進めていくわけです。いかにお客さんを感動させるかと か、報・連・相がいかに大事か。この例え話が一番現場の方には受けました。「もし、私が喫茶店を経営していて、ケーキが腐っていた。しかも100人中 100人が腐っていると気がついているのです。文句を言ってくる人は何人いるでしょうか」と、社員さんに聞くわけです。アメリカ人は4人言ってくるそ うです。100人中100人が腐っていると分かっているのに、4人しか文句を言ってこないそうです。それでは日本人は何人文句を言ってくるか、1人しか 言わないそうです。皆さんも気がついても言わないのではないですか。それとも二度と行かないとかあるんじゃないでしょうか。
 逆に言えば、1人言ってきたら99人後ろにむかついちゅう人がおるがでと。お客さんから1回しか言われてないと思ったらいかんで。しかも、それで 終わったらええけんど、残りの99人の人が。みんなも覚えないかえ。家へ帰って、今はメールがあるからもっと怖いですね。「あの店、最低。許さん」 とか。けれど、まだチャンスがあります。「あっ、腐ってた。これはいかんよ」ということで、偶然みんなの住所が分かったとして「ごめんなさい。す みません」と本気で謝りに行ったら、文句を言った人の4名の人が「あの会社、思ったよりもいいぜ」となるそうです。「何かあったら会社に言ってき いや」ということを徹底します。


る遠いところで100円ぐらいのどう見てもボロボロのコップを割ってしまったという現場がありました。すぐに行くわけです。「すみません。コップを割 ってしまいました。申し訳ないです。弁償させてください」「ああ、ええよ。ところで何しに来たの?」と言うから、「いや、コップを割ってしまいま して、すみません」「うん。ええよ。ところで何?値上げ?」と言われます。「いや、コップで」「あほか、おまえら。コップでここまで来るなよ」と いうことで、喜ばれるわけです。ここで意図的にやると倍アウトです。出入り禁止になります。本気で毎回の事件を謝らなければいけません。いかに、 社員さんが本気で謝れる経営ができるかが一番大事なことです。


成1年からカウントを取り出しました。年間5件から10件だったクレームが去年度は344件。ほとんどが自分のところから発見したクレームです。「クレ ームは宝の山」を延々と社員研修していくと、これを会社に言うことによって会社も喜ぶし、お客さんも喜ぶんだと。会社が良くなっていくということ を具体的に社員さんに示していっていますので、上がってきます。
 物を忘れていたとか、社員さんの元気がないとか今までの掃除会社ではクレームのなかった内容とか、設営がおかしいと来るのです。行くと1センチ ずれているのです。1センチずれていることも文句を言っていただけるのです。「あの会社、文句を言いやすい」「あの会社、言ったらちゃんと対応し てくれている」ということがだんだん広がっていくのです。


ちの場合は、クレームをラッキーコールと呼んでいます。クレームは宝の山ですから、1件、1件逃げずにすべてを解決しようとします。現場の人のせ いにしても会社は良くなりませんから、現場の人のせいには絶対しません。もしその人がミスをしたら、「この人をここに配置した、そこが悪い」から 全部入っていくのです。例えばトイレにスポンジが流れるわけです。悪いのは、流れるようなスポンジを納品する資材担当が悪いわけです。資材担当に 任命したお客様係が悪いのです。お客様係を決めた社長が悪いのです。特にこの事件が多かったもので、柄つきブラシの長いのを買ってきてカットしま した。絶対に引っ掛かる長さに切ったら流れることはありません。クレームになったときに「次から気合いで頑張ります」と言っても気合いは問題対処 であって、問題解決ではないのです。
 3年くらい前に新幹線の運転士さんが居眠りをして、岡山からどこかを通過した事件を覚えていないでしょうか。運転士さんが無呼吸症候群の人だと いうことで、特殊な、あの運転手さんだから起こったんだという事件に話がすり替わっていったのです。私どもが言っていたのは、「健康診断制度が悪 いんだ。特殊な病状の人を電車に乗せる自体が社長の責任なのに、個人のせいになっていく」「あれは究極の問題対処ですから、絶対事件が起こるで」 と言っていたのです。取り返しのつかないどころではなくなってしまいましたね。
 公務員の飲酒運転があります。今の法則では絶対になくなりません。究極の問題対処をしているのです。「飲酒運転を起こすと首ですよ」だけなので す。恐怖で抑え込んでいるわけです。飲酒運転の起こらないような普段のコミュニケーションを取るべきなのです。教育委員になって初めて分かったん ですけど、学校の先生はすごくしんどいです。ストレスの塊なのです。そのはけ口がないからちょっと精神的にしんどくなったり、いろいろあるわけで す。うちの今の統計的に、このクレームが上がってくる数字で計算すると、高知県は9,000人の学校の先生がいるので年間6,000件、こんなクレームが上 がってこなくてはいけないのです。一番の問題解決は、その6,000件が上がりやすい仕組みと、ご相談に乗ってあげて問題解決をしていけば、飲酒運転 がなくなると思います。
 よくこういう話をしたら「四国管財だからできるんだ」と言うのです。とんでもないです。うちの会社は報・連・相が全く上がりませんでした。誰が 今日欠席しているか、分からない状態が20年ぐらいありました。「うちの会社はこうしていく」と、あるべき姿を明確に書きました。「お掃除では差別 化できんで。無理やで」と。だって日本中の掃除会社が同じワックスを使ってるんですもん。評価されるのは値段だけなのです。値段以外でうちの会社 のいいところを出すのは、接遇とか、車の運転、車がきれいでないといけないと延々とやってきたわけです。すると、ちょっとずつ変わっていくわけで す。


経営革新セミナー れから事務員さんをスマイルサポーターと呼ぶのです。電話の対応で売上が倍になると思っています。お客様の苦情も、仕事を初めて頼みたいときも、 本社に電話がかかってきます。だから、本社の電話の対応に命をかけて、朝、毎回ミーティングをします。大体30分ぐらいですが、納得いかないときは 2時間でも3時間でも4時間でもします。そこで価値観の共有化をするわけです。
 あとお客様巡回。クレームがある前に「うちの会社、どうでしょう?」というのを巡回します。ワックスがけをした後、クレームがあるのです。「じ ゃあ、先に行こうよ」いうことで、作業が終わった次の日に、「昨日は、問題がなかったでしょうか」ということで、すべてのお客さんを回るようにし ました。
 何が大事かというと社員さんとの価値観の共有が大事です。コーチングを勉強しましたので、月10名くらいを2時間ほど、いろいろなお話を今聞くよ うにしています。ここで社内提案とか、かなり面白い話がいっぱいあります。
 それから全員ミーティングというのがあります。会社を良くする会議。お客様係は全員出席なのですが、それ以外は全社員誰でも入っていいです。こ こで会社のルールをすべて決めます。全社を禁煙にしようとか、なんとかしよう、これをしようというのも全部ここで意思決定をします。あと第三者、 違う会社の方に入っていただいて、外から見た四国管財をいろいろなことでアドバイスしていただくようなことをしています。


月、研修を20、30回しますが、研修が分かっているか、分かっていないかを明確にしないといけないわけです。試験は嫌いますので、社員さんに講師を してもらいます。第三者に説明できることで、分かったとみなそうという。
 今月で28回目になりますが、全社員から毎月アンケートを取っています。記名と無記名両方です。すべて載せます。「有休取れんやんか。うそつき」 「給料が安い」「対応、悪いぜ」、すべて載せます。無記名で来てしまうと特定はできないのですが、四国管財のどこかで何かが起こっているというの が分かるほうが必要と思いました。そこの現場だけで直すのは問題対処ですから、会社をすべて良くしたらいいやんということで。


分の夢の実現のために四国管財で働こうということをみんな明確に決めて、その手段のひとつとしてクレームも大事だとやっていますので、クレーム処 理のフォーマットや技法だけをまねしても多分うまくいかないと思います。それ以前の問題対処的な会社の哲学や考え方と、価値観の共有に時間とお金 をかけていくと、だんだん独自性が出てくるように最近思いました。