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材料の表面構造を制御することにより、防汚損性を発揮する高分子材料を開発しました。高分子鎖ならびにその高次構造を制御することにより、 表面に規則的な構造を施すことによって、汚損物や水棲生物の付着を防ぐことが可能になります。 有機スズなどの対生物毒性の高い薬剤を使用しなくてすむようになるので、船底塗料に使用すればフジツボ等の海洋生物が付着しないため、 水との摩擦が減り船舶の燃料費の節約や対生物毒性がないため、環境保全に役立ちます。
高分子細微表面制御による高耐久工業材料の開発 高知県工業技術センター 資源環境部 鶴田 望
物質が付着しない表面を持つ材料は、様々な分野で必要とされ使われています。 例えば、人工血管等に使用されるバイオマテリアルは、材料表面にタンパク質の凝集や血液の凝固が起きないように表面形状や組成が制御されています。 このように材料表面にモノが付着しないようにすることで役立つ物質は数多くあります。
高分子表面構造を制御することによって、材料表面の防汚損性により表面を清浄に保ち、安定的に使用できる高分子材料を試作検討しました。
高分子表面構造を制御した高分子材料の作製
表1 機能性発現のための表面の微細構造制御方法 スフェア グラフト スフェア+グラフト
スフェア
A-Bブロック C-グラフト共同重体
スフェア表面にグラフト化 機能発現ため検討した微細構造の概略を表-1に示します。
スフェアは、粒径の整った粒子をマトリックス表面に配列させ、微細な凹凸構造を構成制御する方法です。 粒子の配列が作る凹凸構造が、その構造に対応した大きさの物質を、取り付けないようにします。
グラフトは、複数のモノマーを組み合わせて反応させ、主鎖に高分子骨格を強化するモノマーを、側鎖に生物付着防止機能を発現するための官能基を組み込んで防着性の発現を検討しました。 例えば、官能基を導入できるモノマーAと高分子鎖の強化ならびに基材と強固に結びつくモノマーBでABブロック共重合体を得たあと、生物付着防止機能の官能基をもつモノマーCをAブロック側鎖に導入して目的物質を得ます。
スフェア+グラフトの場合、スフェアの粒子表面に短鎖の高分子をグラフト化して機能性の強化や付与を行います。 反応は、スフェア粒子の合成時にグラフト分子を導入できる活性点を持つモノマーを使用したり、粒子自身を化学的に処理したりして、高分子鎖の導入を行い、目的物質を得ます。
フィールド試験の経過
図1 フィールド試験における試料の経時変化 (a) (b) (c) ![]()
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(a) 下地材1週間経過 (b) グラフト試料ブランク (c) グラフト試料1週間経過
図1にフィールド試験に使用したグラフトの手法により作製した試料群の表面状態の一例を示します。
図1(a)の下地材は、ほぼ全面に付着物が生じていますが、図1(c)の一週間経過した試料は、 下地材と比較して粒状の付着物も小さく、白い塗膜の部分も確認できることから、防付着性を発揮していると思われます。
今後は、さらに防着性を発揮するための分子構造や分子の集合状態の検討、 また通年にわたる長期の防着性を検証するフィールド試験を行い、信頼性のある防付着性を持った高分子材料開発を完成させます。