クロカン・スキー ![]()
クロスカントリー・スキーの仲間が札幌にやってきた。パックツアーの指定宿泊先のホテルで落ち合った。 夕食を取りながら、明日からのスケジュールの相談をする。現地参加の私たち2名を入れて総勢9名である。 私達が札幌に住んでいる時に北海道に行こうと計画を立てたのである。95年の3月下旬のことである。夫婦で参加するのは、 86年の裏磐梯・国民休暇村、88年の日光・高徳牧場に続いて3回目である。
日曜日の明日は、今シーズン最後のジャンプ大会が開かれる。まずはこれを観戦することに意見が一致した。 「午前10時から始まります。9時に地下鉄の丸山公園駅で落ち合いましょう。大倉山シャンツエまではシャトルバスがあります。」 と告げると、皆さんは「そんなに早くジャンプ競技が始まるのですか。」と怪訝そうな顔である。 テレビでの放映は普通は午後4時からであり、録画中継であることを気にする人は殆ど居ないのである。 「まず最初に選手全員による試技が1本あります。その後で本番の2本を飛びます。 本番の2本目は最初に出した記録で飛ぶ順序が変わります。2本目の始まる前にスタート順位表が配られますから、 必ず貰うようにして下さい。選手の息遣いが聞こえるジャンプ台の先端で、 スタートからフィニッシュまでの全てが見える着地点の近くでと、好きなところで、移動しながら観戦して下さい。」 と観戦の要点を説明する。
誰も本物のジャンプを間近で観戦したことはない。「飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ」よりも、 「落ちる」の表現の方が適切である。急斜面を滑り落ちるスキーと雪面との摩擦音、踏み切りの時に選手が発する奇妙なかけ声、 選手のスーツから出てくるような鋭い風切り音、テレマーク姿勢での着地の音、皆さん、最初はその迫力に圧倒されて、 口を開けたまま声も出ない。しかし、直ぐに観戦の達人になって行くのが分かる。踏み切りのタイミングに注目するれば、 飛距離の予測ができるのである。この予測が正しいことを証明するかのように、飛距離が出るとファンファーレが高らかになる。 札幌に来て初めてジャンプを観戦したときの興奮を思い出す。
近くのレストランでお昼を食べながら、無料の貸出しスキーのある中島公園で足慣らしと相談がまとまった。 都会が一望できる大倉山でのジャンプの観戦から、下に見えていたビルの谷間の中島公園でのクロカン・スキーは、 札幌に住んでいる私達にとっては日常的であるが、大変喜んで頂けたように思う。 「今日は、荻原健司のように複合競技に出た気分ですね。」、「ジャンプの後でのクロスカントリーだから。」、 「ともかくも優勝を祝して乾杯。」、と賑やかな夕食となった。次の日は我が家の近くの真駒内公園を、 そして少し離れたすずらん公園に案内し、好天に恵まれた3日間のクロスカントリーを満喫した。 背中のザックには缶ビールが入っていることは当然である。
ゴールデン・ウイークの頃まで、様々なスキーを近場で楽しむことができた札幌の生活であった。![]()
[退職いたしましたが、この欄を引き続き担当致します。ご感想、ご意見、耳寄りな情報をお聞かせ下さい。 鈴木朝夫
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