特許流通支援コーナー


 7月号では「めざせ!世界最速 特許審査待ち短縮作戦」のご紹介と 「特許流通成功事例」(小型で高圧の性能を有する加圧遠心ポンプ)をご紹介します。



「目指せ!世界最速」特許審査待ち短縮作戦

出願厳選を要請 人員も増強 "とりあえず請求"増加を防ぐ

 発明をしても、特許権を得るための審査まで2年以上も「順番待ち」を余儀なくされる状態が続いている。 増え続ける審査請求に、特許庁の処理能力が追いつかないためだ。「知的財産大国」をめざす特許庁は、審査能力を強化し、 出願する側の企業にも厳選して出願するよう呼びかけるなど、審査の「スピードアップ作戦」に乗り出した。(実森出、豊田千秋)
 日本の特許制度は、同じ発明なら先に出願した方を優先する「先願主義」をとる。 出願さえしておけば他人に特許を横取りされる心配はない。ただ、出願しただけでは特許権はなく、 他の人や会社が発明を勝手に使用しても、特許権をたてに損害賠償を求めることはできない。
 特許権を得るには特許庁の審査が必要だが、出願だけでは審査は行われない。 出願者は、出願から3年以内に改めて「審査請求」をする必要がある。
 わざわざ「二度手間」の手続きを踏ませるのは、発明者(人や企業)に対して、発明の価値や、 製品化できるかどうかなどをよく考えてもらうためだ。
 2000年〜04年の5年間に審査請求があったのは出願件数の約55%。さらに審査の結果、特許と認められなかった 「黒星」の割合は50.5%(04年)にのぼる。特許権が認められるのは、4件の出願のうち1件に過ぎない。
 しかも、日本の審査官1人あたりの処理件数は205件と、米国(04年に83件)、欧州(同42件)と比べてずっと多い。 発明者が本当に必要とする特許だけに審査を絞り込むことは、審査のスピードアップにもつながる。
 01年には、出願から特許権付与までの期間を縮めるため、出願から審査請求までの期間が「7年以内」から 「3年以内」に短縮された。
 ところが、この措置は思わぬ副作用を招いた。審査請求から実際に審査が始まるまでの「順番待ち期間」が05年度に27か月前後と、 00年度より5か月程度長くなり、米国(同20か月)や欧州(同22か月)を大きく上回ってしまったのだ。
 審査が請求できる期間が短くなったことで、「発明がモノになるかどうかを3年で見極めるのは難しい」 と感じた企業などが「とりあえず(請求を)出す」(大手電機メーカー)動きに出たとみられる。
 このため特許庁は今年1月、審査の迅速化に向けた行動計画をまとめ、スピードアップに本腰を入れている。 審査の順番待ち期間を2013年に11か月に縮め、世界最速にするのが目標だ。
 企業に対し、改めて無駄な出願や審査請求をなくし、出願を厳選するよう求めた。審査請求後も請求を取り下げやすいように、 これまでは半分しか返さなかった審査料(20万円)を全額返還することにした。
特許戦略の統括役員であるCPO(チーフ・パテント・オフィサー)を設けることも呼びかけた。  4月には、特許の審査請求件数に対する「認定率」が高い企業を公表した。「黒星」が多い一部の企業に対し、 認定率を高めるよう促したわけだ。
 特許庁自身も通常の審査官に加え、任期(最長10年)を区切った審査官を08年度までに計500人採用 し、1,700人体制で審査にあたる。今月からは今までより1時間30分繰り上げて、午前7時から業務を始める審査官も設け、 審査の効率化を図る。
 特許制度には、いったん出願するとその事実が1年半後に公開され、他社にヒントを与えてしまう、といった問題や、 出願料などの負担が大きい、といった問題もある。このため出願を厳選するよう求められた企業のなかには、特許の「量」より「質」を 求める動きも出てきている。
 「液晶など最先端の技術については、特許は基本的に出願しない。特許を取らなくても(技術を囲い込んで) ブラックボックス化すれば守れる」(シャープ)という企業もある。特許庁の行動計画は、 企業の知的財産権戦略を見直すきっかけになるかも知れない。
特許庁

光学関連の特許を審査する特許庁の審査官たち
(東京・霞が関の特許庁特許審査第一部で)

特 許 流 通 成 功 事 例
小型で高圧の性能を有する加圧遠心ポンプ
経緯
 本特許技術は米原技研有が開発し、平成11年に特許出願したもの。その後同社は、島根県特許流通アドバイザーに技術移転を相談し、 同特許流通アドバイザーは特許流通フェアへの出展、新聞等への記事掲載、ポンプメーカー等への紹介を行った。 この活動により、平成15年頃から本特許技術に注目した企業数社が集まり、ポンプの性能評価、市場調査等を行った結果、 新会社株BECを立ち上げ、ライセンスを受けて製造販売を推進することこととなった。 島根県特許流通アドバイザーが契約条件の調整を支援し、平成16年に特許権実施許諾契約の締結に至った。 【成約日】平成16年1月20日

ライセンサーが特許流通ADに特許の技術移転を相談

特許流通フェア出展やメーカーへの紹介を支援

県内企業数社が注目し、共同で新会社を設立


成 約
技術概要
利用技術: 特許第3519654号
「加圧遠心ポンプ」
概   要: 遠心ポンプのケースの内側に送出口に近づく程、スペースが狭くなるように勾配を付けたことにより、 吸い込み口から入った水は羽根の回転に加圧され、更に勾配の変化により圧縮、加圧される。本ポンプは前記構造、 機能を構えるため小型ながら高圧、高揚程の能力を有する。また、水に気体が混合しても、キャビテーションの発生がなく、 連続運転できるのが特徴である。洗浄用高圧ポンプ、小型の消防ポンプに適し、また気泡を混入してのバブリングが可能なので、 湖沼等への酸素供給にも使用できる。
企 業
導入企業: 株式会社BEC(島根県松江市)
提供企業: 米原技研有限会社(島根県出雲市)
成約に関するコメント
 本事例はライセンサーと特許流通アドバイザーの密接なPR活動により、興味をもった企業(機械メーカー、金融機関等)が 共同で技術評価、市場調査等の検討を行った点が特徴。成約に当たっては、契約条件等の調整を支援した特許流通アドバイザーの貢献が 大きかった。

平成16年11月 「知恵の輪ニッポン」にて紹介





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(財)高知県産業振興センター 特許流通アドバイザー 吉本 忠男
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