大学研究室紹介

高知大学
農学部 生物資源科学科

 助教授 島村 智子

島村氏 TEL:088-864-5193
FAX:088-864-5189
E-mail:tomokos@cc.kochi-u.ac.jp


研究室の概要
 私の所属する生物資源利用化学研究室は「食品」を対象とした研究を行っています。研究室の構成(2006年7月現在)は教授2名、 助教授1名(私です)、研究員2名、博士課程3名、修士課程5名、学部6名、秘書1名の合計20名となっています。 このうち、7名が外国からの留学生であり、国際色豊かな研究室となっています。
 「食品」といっても、その素材の栽培、加工、保存に至るまで研究対象は様々ですが、 私は食品成分の分析とその性質の解明に興味を持ち研究を進めています。ここでは、研究の一部を紹介したいと思います。
研究内容の紹介
@ 牛乳の品質評価法の確立

 我々が日常的に飲んでいる牛乳は加熱殺菌を経て食卓に届けられています。これは、厚生労働省の制定する乳等省令において、 製造方法の基準が「保持式により摂氏63度で30分間加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」 と定められているからです。これを受けて、現在は加熱温度を低め(62〜65℃)にして加熱時間を長く(30分以上)する方法 (低温長時間殺菌法:LTLT法)、加熱温度を高め(120℃以上)にして時間を短く(数秒)する方法(超高温加熱処理法:UHT法) が主に用いられています。
 また、高温短時間殺菌法(72〜75℃で15秒:HTST法)が施されることもあります。 日本では9割以上が120℃以上で数秒間の加熱処理を行うUHT乳で占められています。加熱殺菌を施された牛乳には、外見上、 殺菌前の生乳と比較して何ら変化は認められませんが、その実、牛乳成分には様々な変化が起こっているのです。その変化の一つにメイラード (Maillard)反応があります。この反応は褐変反応とも呼ばれ、反応の最終段階では褐変物質(メラノイジン)を生じます。 クッキー、コーヒー、醤油などの茶色い色はメイラード反応が進行した結果です。牛乳は褐色を呈してはいませんが、 内部では確実にメイラード反応が進行しています。
 当研究室では牛乳中で起こるメイラード反応の初期段階で生成するアミノレダクトンをテトラゾリウム塩XTTで検出する熱履歴 (加熱処理の程度)評価法の開発に成功しました。従来の熱履歴評価法は牛乳の前処理を必要としたり、 測定に長時間を要したりと実用的ではありませんでしたが、本XTT法は発色試薬と牛乳を混合して20分間反応させるだけの極めて簡単な 操作で熱履歴を知ることが可能です。これまでに、XTT法によりLTLT乳、UHT乳、UHT乳よりもさらに過酷な熱処理を施された ロングライフ牛乳の識別が可能であることを報告しました。本法を用いることにより、 牛乳製造の場で最重要視されている加熱殺菌工程を簡便に管理できるとともに、安心安全な牛乳を食卓に供給できるようになると期待しています。
 現在は、XTT法で検出可能となったアミノレダクトンの牛乳の品質に対する影響について研究中です。

A 食品の有する機能性の解明とその評価法の開発

 右記の話は牛乳に集中していましたが、他の食品を扱った研究テーマも進行中です。どのテーマにも共通することは「機能性」というキーワードです。 みなさんも「特定保健用食品(通称トクホ)」という言葉を耳にしたことがあると思います。 あるいは、日常的に摂取している方もおられると思います。そのトクホの開発に繋がる言葉が「機能性」です。 当研究室ではお茶、農産物、水産物、微細藻類などの有する機能性の解明に取り組むとともに、その機能性の評価法の開発にも力を入れています。 新たな機能性食品素材の発見はトクホ製品の誕生に、機能性評価法の開発はトクホ製品の品質管理の向上に繋がると信じています。

農学部は生まれ変わります

 現在の高知大学農学部は生物資源科学科を含む5学科で構成されていますが、平成19年度より1学科8コース制へと改組が行われます。 生物資源科学科に所属する教員は改組後、主に食料科学コースと生命化学コースを担当することになり、 当研究室の教員は食料科学コースを主に担当します。
 組織は変わりますが、研究に対する熱意は変わりません。当研究室、ならびに農学部の今後に注目していただきたいと思います。

研究風景