読んで貰える申請書の書き方は? |
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● はじめに |
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今年は何としてでも研究費が欲しいとの思いから申請書を書いたことが何度もある。校了後の満足感と十分な手応えを感じての書類提出である。 この様なときには報われる確率が高かった。その後、申請書や報告書を審査する側に回ることが多くなった。 申請者の書き切ったという思いが伝わる計画書は他の審査員にも支持されることを知った。 |
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1) タイトルには最大限の努力を |
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分厚い学位請求論文をまとめ上げたA君は、2000字を限度とする概要(アブストラクト)の作成に苦労した。
次に300字の要約を作らなければならない。A君は「5年間の研究の集大成であり、1500ページもあるのですから、300字に要約しろとは理不尽です。」
と訴えに来た。私の答えは「さらに短い要約が必要です。それが出来なければ、学位には値しないのです。」「それはタイトル(題名)です。
最大で25字程度です。」であった。 |
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2) 申請書は絵のように美しく |
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B研究員が添削して下さいと、徹夜で書き上げた研究助成申請書を持ってきた。筋書きとしては良く書けてはいるのだが、読む気にはならない。
字間と行間が殆ど同じであり、記入欄ごとに活字のポイントが異なり、しかもパラグラフ(段落)が全くないのである。
「審査員はこれを読みたいと思うだろうか。目を通して貰えなければ、貴方の努力は届かないのです。
自分が審査員だったらと考えて下さい。」と再考を求めた。
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3) 仕込みを早く、熟成を待つ |
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締め切りが迫ってから、交付金・補助金を獲得しようと思い立つことが多い。今から来年の締め切り日に向けての思考実験を始めよう。 関係者間で議論を重ねること、仕上がったら第三者に見せて批判を受けること、時間を置いて再検討することなどが熟成させるこつである。 なお、集中力を高めれば熟成期間を短縮できないことはない。草稿が仕上がったら、読み聞かせのように声に出してみよう。利き酒は念入りにすべきである。 |
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4) 審査員はそれほど忍耐強くない |
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C社のC社長さんが申請書(案)を携えて来訪。国への助成金事業の目的を、「環境問題はこれで一気に解決します」の
意気込みで滔々と持論を展開して下さる。申請書でも「そもそも」から始まり、地球環境を守ることの重要性が丁寧に述べられているのだが、
肝心の手法については「新規性の高い特殊な処理工法」としか記していないのである。「特許申請の準備中であり、情報が漏れては困るのです。
細かく書くことは控えたい。」「細かくどころか、何も書いてないですね。」「D大学のF教授にご指導を頂いてます。」とやり取りがあった。 |
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5) 素人にも分かる平易な表現を |
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ご利益がありそうなお経は意味不明でもかまわないが、応募書類は理解して貰わねばならないのである。 専門用語(略号、業界言葉、やくざ言葉、オタク言葉)を断りもなく使ってはいけない。初出の時に説明しておく必要がある。 例えば、「この表現はチョベリバ(超ベリーバッド)である。」のようにすれば良い。用法が一般化して来れば問題ないが、 内輪で日常的に使っているので気が付かないのである。家族などに見て貰うのがよい。審査員は全くの素人と思っていれば間違いない。 |
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● おわりに |
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公募しているプロジェクトの趣旨と助成を求めようとする自分の事業計画とが完全に一致していることなどあり得ない。といって諦める必要はない。
こちらを先方に合わせることの検討、木に竹を接ぐ工夫が必要になる。その過程がアイデアを新鮮なものに変身させていくことになる。
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● 付 録 |
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この文章のタイトルを数多く考えたので披露する。最終的に私が選んだのは“読んで貰える申請書の書き方は?”である。 貴方はどれを選びますか。 |
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タイトルを熟慮するうちに、これが本体に好結果を与えることになる。自分の思い込みが整理され、論点が明確になってくるのである。 相乗効果が期待できる。 |
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PLATFORM No.229 2006年10月号