セイタカアワダチソウ、花見の旅

ぷらっとウォーク

 10月中旬、トヨタ自動車の工場見学の機会に恵まれた。一泊二日、片道8時間のバス旅行である。 南国インターから、高知道、高松道、瀬戸大橋、山陽道、名神道、東名道を経て豊田インターまで約600km、 座っているのが嫌になるほどの長い旅であった。しかし、高知から名古屋の東側まで、 この時間で行かれることを有難く思うべきであろう。車窓を流れていく景色や風情を観察することで気が紛れる。

 残念ながら、高知を後にして、香川、岡山、神戸、大阪と東に向かうほどに、名古屋に近づけば殊更に、 旺盛な活気を感じるようになるのである。沿道から見える工業団地やショッピング・モールや住宅地の規模が次第に大きくなり、 また物流の多様性を示すように貨物車両の種類が増え、交通渋滞も間欠的に発生するようになる。 これらはビジネス活動が活発な証しのように思える。中京地区が経済活性化の牽引力になっているとの思込みが そう感じさせるのだろうか。

セイタカアワダチソウ

 ところで、高知ではセイタカアワダチソウに例年にない勢いを感じていた。花の色は黄色というよりも、 深みのある黄金色(こがねいろ)である。また、今年は折れたり、倒れたりした株が少なく、背を高くして堂々と伸びている。 放棄畑や資材置き場が一面の黄金色に埋め尽くされている。コスモス畑やひまわり畑と甲乙を付け難い美しさである。 また、黄金色の草並もある。国道195号線とJR土讃線が平行に走る御免〜土佐山田間では、 ガードレールと線路の柵のわずかな隙間に、背丈を高くし列を作って咲き誇っている。
 高知のセイタカアワダチソウの勢いは、高知道の19のトンネルを通り抜けて、讃岐に出ても衰えることはない。 高知から名古屋まで、途切れることなくセイタカアワダチソウの草並やお花畑がさらに続いている。 高速道路の路肩・法面は勿論のこと、防音壁越しに見える近くの丘の斜面まで、一面の黄金色である。 地域格差なぞ全く感じられない旺盛な咲きぶりである。

 セイタカアワダチソウは、北米原産の帰化植物であること、荒れ地や裸地に繁茂して大群落を形成すること、 花粉アレルギーの原因と考えられたこと、根から出る毒素成分で他者の発芽を抑制することなどのために、 悪者扱いにされている。園芸品種として持ち込まれたとか、蜂蜜の採集源として持ち込まれたなど、 当初は役立つものであった可能性も高い。しかし、日本に上陸した経緯は定かではないようである。 このような侵入者と云った悪いイメージを取り去れば、鑑賞に堪えるとても綺麗な花である。 特に今年の咲き振りは見事である。その理由は分からない。自分自身の出した毒素成分でやがて勢力が衰えるとあるが、 今年の繁茂ぶりを見るとこの説に疑問を感じる。建設して時間の経つ名神道や東名道でも、 また土讃線の線路脇でも咲き誇っているからである。

 名古屋に象徴される好景気が高知にはまだ伝わって来ていないが、 高知の輝かしく華やかな黄金色は名古屋にまで充分に伝えられていることを確認できた。 今回は、地域格差を見せ付けられた旅でもあったが、素晴らしい花見の旅でもあった。

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PLATFORM No.230 2006年11月号