独立行政法人 科学技術振興機構による
地域研究開発促進拠点支援(RSP)事業です。
RSP事業だより

 県内の事前通行規制区間は路線数が多く、総延長距離は長いです。これまで通行規制表示は人が手動で操作していたため、 時間の遅れや操作のため規制区間を移動する必要がありました。 そこで、数年前から遠隔制御による簡易式道路表示板の導入が検討され始めました。 この研究では一般性のある仕様で種々の点で工夫、改良し、より低廉な遠隔制御による簡易式道路表示板を開発しました。


遠隔制御方式による高機能道路交通規制表示システムの開発

高知工科大学 総合研究所 教授 熊谷 靖彦

 高知県内には事前通行規制区間が63路線、86区間あり、総延長788.7・にも及びます。 1時間雨量が50・或いは連続雨量が200・となりますと、従来は当該規制区間の上下流2箇所で現地事務所の人が通行止めの 表示板を手動で操作して規制を行っていました。しかし、この方法では時間遅れや操作の為規制区間を移動する等の矛盾があり、 数年前から遠隔制御による簡易式道路標示板を導入し始めました。ただ、この方式は高価で需要を満たすには程遠く、かつ、 通信方式も独自の仕様で一般性が無く、容易に県内企業が参画することが出来ない市場の閉鎖性等の問題がありました。 そこで、平成16年度に高知県と共同で、一般性のある仕様で、市場の原理を取り入れ、かつ種々の工夫による改良等により、 より低廉な表示板を開発しました。その結果、地場企業も参画可能となり、かつ整備費用も大幅に低く抑える事が出来、 平成17年度から県内で本格的な導入が始まりました。
 本研究開発は、更に広くこの遠隔制御方式の表示板を県内外で実用化するために @新しい機能追加 A更なる低廉B 地場企業の製作参加 を念頭においた開発です。具体的には全方位カメラによる情報収集や無線による制御等の機能追加や、 三段表示を二段繰り返し表示に変更する事による小型化です。これらにより表示板を表示するだけでなく一種の情報拠点となり、 かつ表示板自身の低廉化に併せ、既存の規制標識に抱合わせ設置することで基礎や支柱等の工事や部材が不要となりました。
 本研究開発は「基本仕様検討」「試作および評価」「仕様決定」の手順で行いました。

基本仕様検討

 今後の展開を考慮した全体像を明確にしました。昨年度高知県と共同で開発したシステムをKL1と位置付け、 本研究内容をKL2、更に可搬型のKL3のイメージも検討し、一連のシステムをKLシリーズと名づけました。 又、支柱取り付け方法、機器の構成を明確にしました。情報収集系として、双曲線ミラー方式の全方位カメラを採用しました。 更に擬似センターと無線LANで接続する事としました。図1に全体像のシステム構成を示します。 本研究は全体像の内のハンチング部分となります。

試作および評価

 機能確認のため試作を行い、大学構内で視認性や機能の確認を行いました。 評価項目は文字の大きさや色と視認距離の関係を明確にする事にあり、走行速度や被験者の視力をパラメータとし、 種々のケースで評価しました。図2は試作機と校内評価の写真です。

仕様決定

検討結果に基づき仕様を決定しました。仕様書は以下の表1から構成されます。

表1 仕様書一覧

対 象

仕 様 書

表示板ハードウェア

KL2型道路情報提供装置機器仕様書

通信ソフトウェア

操作卓―情報板 通信I/F仕様書

全方位カメラ

屋外型全方位カメラ仕様書


図1 仕様書一覧

図2 試作機と校内実験状況

研究開発結果

 目標として掲げた3項目について、試作機を通じて確認を行いました。 @の新しい機能追加に関しては、表示板による情報提供のみならず、全方位カメラによる情報収集機能と、 無線LANを通じた擬似中央制御機能を確認しました。Aの更なる低廉化に関しては、総額50万円ほどの低廉化を確認しました。 Bの地場企業の製作参加に関しては有限会社ITS高知に試作製作協力を依頼しました。 又、仕様書をホームページ(http://kut-its.jp/)を通じて一般に閲覧できるようにし、 誰でも製作可能な状況を提供しました。

今後の展開

 本研究開発で得た技術は更に次の展開が考えられます。KL3と呼んでいる可搬型は道路管理者にとり有効です。 屋外型全方位カメラは単体でも幅広い需要が期待出来ます。これらのKLシリーズは高知県発として他県での採用も充分 可能と思われます。


PLATFORM No.230 2006年11月号