独立行政法人 科学技術振興機構による
地域研究開発促進拠点支援(RSP)事業の平成17年度育成試験より。
RSP事業だより

 近年、抗菌剤、防虫剤、芳香剤など紙・不織布の付加価値を高める薬剤について、天然物が用いられるようになっています。 本研究では天然物由来の加工薬品は、ブドウの種子に含まれているポリフェノールであるプロアントシアニジンを利用した肉・魚介類の鮮度保持シート、 医療用不織布シーツを開発しました。


天然物由来の加工薬品を用いた紙・不織布加工技術の研究

高知県紙産業技術センター 森澤 純

1.はじめに

 プロアントシアニジンは、老齢臭を軽減することが知られており、この消臭効果を利用した清涼飲料水が既に開発販売されています。 プロアントシアニジンの消臭効果は、ポリフェノールの特有の抗酸化力によるものと考えられていて、さらに、この抗酸化力は抗菌効果を有していることが明らかになりました。
 そこで、当センターではプロアントシアニジンを用いた肉・魚介類の鮮度保持シート、医療用不織布シーツを開発し、大型プラントによる製造方法の確立を図りました。

2.方法

@加工機による試作試験

 プロアントシアニジン、トレハロース及び塩類混合物を蒸留水に任意の濃度で溶解させた水溶液を調整し、グラビアロール法で水溶液を不織布に含浸させ、110〜120℃の熱風で乾燥しました。

A魚肉の鮮色保持試験

 各刺身用解凍肉片(100g程度)を20×25cmの大きさに裁断したシートにそれぞれ包み、さらにチャック付きポリエチレン袋にそれぞれ入れ、金属製トレイの中に並べて、10±0.5℃に設定したインキュベーター内に保管しました。
 それぞれの肉片をインキュベーターに保管する直前(0時間)、保管してから24時間ごとに取り出し、それぞれの魚肉の写真撮影を行いました。

3.結果

@魚肉の鮮色保持試験

 魚肉の経過時間毎の変化を表した写真を示します。試験前の魚肉は鮮やかな赤色をしています(写真1、3)。 写真で示されるとおり、無処理の魚肉はすでに腐敗色が認められます(写真2)。 しかし、プロアントシアニジンを含有した試作シートで包んだ魚肉は、48時間後でも、より鮮やかな赤色を残しています(写真4)。
 以上の結果から、プロアントシアニジンを用いた鮮度保持シートは、魚肉の鮮色保持に有効であることがわかります。

写真1 無処理魚肉 0時間後 写真2 無処理魚肉 48時間後
写真3 プロアントシアニジン・シート
 0時間後
写真4 プロアントシアニジン・シート
 48時間後

4.おわりに

 鮮度保持シートおよび医療用不織布シーツを各種試作し試作方法を検討した結果、鮮度保持シートおよび医療用不織布シーツの大型プラントによる製造方法を確立しました。
 また、今回は記載していませんが、鮮度保持シートおよび医療用不織布シーツについて抗菌試験を実施したところ、特異的な抗菌効果を新たに発見しました。
 本研究成果について、平成17年1月にくじらハウス株式会社と共同で特許出願「抗菌性の紙、不織布または繊維製品」を行い、 出願特許技術を用いた製品開発を進め、平成17年4月からくじらハウス株式会社から商品名「ととシート(鮮度保持シート)」、 「よつばシーツ(医療用不織布シーツ)」が販売開始されています。

「ととシート(鮮度保存シート)」 「よつばシーツ(医療用不織布シーツ)」


PLATFORM No.233 2007年2月号