独立行政法人 科学技術振興機構による
地域研究開発促進拠点支援(RSP)事業の平成17年度育成試験より。
RSP事業だより

 身体全体または、足、手などの身体の一部分を手拭、マッサー機具などを用いず、自動的に洗浄、マッサージ、温熱することを目的として、 浴槽または収容槽の底部に設けた小型羽根車を回転させ、羽根車に入ってきた粒子を吹き飛ばし、身体、手、足などに打ちつける装置の 基本的な研究を行いました。すでに粒子を浴槽底部から温風噴流によって吹き上げ、身体に当てて自動的に洗浄する装置の開発は、 事業化が可能な段階にまで達していますが、この度行った羽根車による粒子吹付け方法を用いれば、空気噴流による粒子吹付け方法に 比してエネルギー消費量、装置の大きさなどが著しく小さくてよいことが明らかになりました。


回転体によって粒子を打ちつける方法の身体洗浄マッサージ装置の開発

高知工科大学総合研究所 教授 横川 明

1.はじめに

 これまでは、浴槽底部から高速空気噴流によって粒子を吹飛ばして身体を自動的に洗浄する高齢者、障害者用の入浴装置の開発を行ってきました。そして、すでに実用化が可能な段階に達しています。しかし、この方法では図1に概要図を示しますように、粒子を身体に強力に吹付けるために大型の送風機が必要であり、浴槽のほかに大型の送風機を屋外に設置しなければなりません。したがって、狭い介護施設では設置場所の確保が難しいという課題のあることが明らかになりました。
 そこで、この度装置を抜本的に小型化するために図2に示しますような空気噴流の代わりに羽根車を設置し、これを回転させて羽根板によって粒子を強力に飛ばす方法を考案し、透明なアクリル樹脂製の模型を製作し粒子を飛ばした時の粒子量、羽根車の回転数、電動機の入力電流値、跳飛高さなどの関係について測定しました。
噴流式身体洗浄・入浴装置
図1.噴流式身体洗浄・入浴装置
羽根式による入浴装置
図2.羽根式による入浴装置

2.実験に用いた粒子

 実際に用いました粒子は写真1に示すとおりです。

粒子1:エチレンとスチレンの共重合体(直径4〜6mm) 柔らかく吸水性があるので身体を洗うのに適し ています。

粒子2:ポリエチレン球(直径6mm) 硬いので皮膚のマッサージに適しています。
写真1.実験に用いた粒子

3.透明アクリル樹脂製実験模型

 実験に用いた模型は写真2(a)(b)(c)に示すとおり座位、立位、手を対象にしたもので、いずれも底部には羽根車を水平に1列または2列に配置しております。

手
(a) (b) (c)
写真2.実験に用いた模型

4.実験結果

グラフ  実験結果の一例を示せば、図3のとおりです。

電動機定格動は0.2kwです。
粒子の重さは50〜300gです。

5.おわりに

以上に述べました実験の結果、座位で全身を対象にした場合には空気噴流による粒子吹付け方法の場合に比して次のとおりの利点のあることが明らかになりました。

  1. 消費電力:約1/5
  2. 装置の大きさ:屋外機不要により約1/2浴槽の底部にキャスターを付ければ浴槽を1人で移動することが可能であり、エレベーターにも乗せられるので設置、移動とも容易にできます。
  3. 手、足の洗浄マッサージ、温熱の可能な器具の製作も簡易で安価にできる


PLATFORM No.234 2007年3月号