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プラットフォーム 2007年5月号 No.236

高知女子大学 生活科学部健康栄養学科 食品科学研究室

教授 渡邊 浩幸
Email:watana@cc.kochi-wu.ac.jp
tel:088-873-2483
fax:088-873-2483
渡邊浩幸

 高知女子大学の健康栄養学科では、食物(栄養素)の摂取と健康との関係について教育・研究しております。 食品科学研究室では、食べ物と健康に関する分野について、特に食品の成分と生体との関係について力を入れております。 関係する主な学会は、日本栄養食糧学会、日本食品科学工学会などがあります。

食品の生体調節機能とは

 食品には、一次機能(栄養素の組成)、二次機能(美味しさ)そして、三次機能(生体調節機能)があります。 食事や食習慣は、ライフスタイルの中で健康に大きくかかわっています。 最近の疫学調査によると、特定の食品を継続的に食べる食習慣を続けると、がんの予防が可能であることがわかりました。 また、高血圧や脳卒中になりやすい遺伝素因がある人でも毎日の食事の摂り方に気をつけていれば、脳血管疾患を予防できることなどもわかってきました。 三次機能をもつ食品については、生体の免疫系、内分泌系、神経系、循環器系などに働きかける活性成分の発見と調節メカニズムの解明がすすめられてきました。 このことによって、疾病の予防や治療に期待できるように設計された食品の研究開発が活発化しています。 研究室担当の教員は、これまでに企業での特定保健用食品の開発を担当した経験もあり、地域の食材を生かした食品機能の探索や有効利用にお手伝いできるかと思います。

食品の生体調節機能を探索する

 食品が持つ生体調節機能は、食品の成分分析を経て、細胞や動物を使用した実験から見出されます。 私どもの研究室には、簡単な食品成分を分析する装置や設備以外に、細胞に食品成分を添加して培養し、 細胞機能や形態に及ぼす影響を評価できる設備と装置を持ちます。
 一般に、動物の細胞は、酸素を取り入れてエネルギーを産生しますが、微細な細胞の酸素量の消費量を測定することによって、 エネルギー産生を高める機能をもつ食品の評価を行うことができます。 動物を用いた評価方法としては、簡単な飼育による栄養試験や安全性試験以外に、動物行動に影響を及ぼす食品の探索を行うことができます。 動物行動を活発にさせることと“うつ状態”を改善させることには何らかの関係があることがわかっています。 現在までに、栄養素のバランスが動物の行動に影響を及ぼすことがわかってきました。 他に、動物の呼気を分析して、動物が消費した酸素量を測定してエネルギー消費量を測定して研究を行っています。 この方法によって、エネルギー代謝を活発にさせる食品成分の評価を行うことができます。

食品の生体調節機能を保持する

 おろし大根の辛味は、大根に含まれるグルコシノレートという物質が、一緒に存在するミロシナーゼという酵素によって分解されて、 揮発性のイソチオシアネートという物質へ変換されて作り出されます。 ですから、大根そのものよりもおろした直後の大根の方が辛味は強く、やがてその辛味は無くなってしまいます。 この辛味の成分は抗菌作用、抗がん作用などを持ちますが、大根の場合には、おろした後には辛味が抜けてしまって貴重なそれらの効果が期待できなくなってしまいます。 そこで、生の大根を粉末にして、これに水を加えておろしたての大根にする技術を見出し特許としました。 いつでもどこでも、簡単におろしたての大根を味わうことができますし、粉末をカプセルにしてお腹のなかでイソチオシアネートを作り出して、大根の辛味成分による生体調節作用を利用することができるのです。
 大根以外にもアブラナ科の植物であれば、多少の差はありますが、グルコシノレートが含まれています。 現在、高知県の嶺北地方の特産であるプチベールをグルコシノレートが保持されるように乾燥して、調味料や機能性食品としての可能性について検討しております。

土佐の食素材を科学する

 土佐には土佐独自の伝統的な美味しいものが沢山あります。 その理由の一つには、土佐の食材の美味しさや食品成分の特徴にもあるようです。 たとえば、生姜を乾燥すると辛味は抜けてしまいますが、土佐の生姜は辛味が抜けにくいようです。 一つ一つ丁寧に調べて、土佐の食材の魅力を追求し、土佐の食材には、美味しくてしかも生体調節機能をもつ成分があることをアピールしていきたいですね。