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プラットフォーム 2007年8月号 No.239

 
中小製造業における生産管理システム構築の手法



  ●相談内容
指導風景
指導風景(左)中野部長、(右)中村氏
 現在、生産管理が十分実施されていないため、増加する多品種少量の受注件数に対し生産計画等が立たず納期遅れなどが生じている。具体的には、各加工機械の混み具合が把握できていないため、〇超函Φ抛出勤等の計画が立たない ⊂況に応じて、余裕のある機械へ柔軟に加工工程を振り分けたいが、加工着手直前にならないと各工程の負荷状況が把握できないことから、「3ム(ムダ、ムラ、ムリ)」や納期遅れが生じ、売上の正確な見込みも立たない。
  このため、IT化の専門家派遣により、生産計画はじめ受注出荷管理、進度管理など生産管理の概念を導入することで、合理的な工場運営を目指したいということであった。
 
●相談企業の概要
 小物・中物の金属製部品加工が専門の企業である。縦型・横中グリマシニングセンター、NC旋盤等による総合的な加工技術でステンレス・アルミ・鉄・鋳物製部品や製缶部品の精密機械加工に巾広く対応し、試作品加工も得意としている。
  100%下請で、その内訳は、県内5%、県外95%となっている。10社程度がリピート先となっているが、1社への依存度が高くならないように、最低、3社にリスク分散するよう営業努力している。
  最近の経営課題としては、原材料費が高騰した割に、受注単価が依然として安く収益性が圧迫されている。また、原材料等の価格変動に対する受注単価の見直しが正確にできていない。
  受注に対する加工機械の現在及び今後の混み具合や稼動状況が把握できず、対応が後手に回り納期遅れが生じている。
 
● 情報システムの現状
 パソコン3台で見積・原価管理、納品・請求管理等を Excel で行っている。パソコン1台で給与・会計業務(パッケージソフト)を使って行っている。なお、 Excel のデータはLANによるファイル共有により情報の一元化管理を実現している。 
 
● 支援の概要
小ロット向けの機械設備となっているため、多品種少量に適した中小下請型の生産管理システムの導入により、生産計画の実現及び生産効率のアップを目指すことを方針とし、次の内容で支援を実施する。
回数
支援内容
1回目
当初取り組むべきIT化の絞込みと開発方針の立案
2回目
受注入力・作業指示書の出力・実績入力の開発指導
3回目
各工程ごと週別累積予定所要時間 ( 週単位山積表 ) の出力の開発・ 運用指導
4回目
例外処理の追加や受注検索・ Excel データ取り込みと検索の開発・ 運用指導
5回目
見積入力と受注時の過去実施工程・見積工程検索の開発・運用指導
6回目
運用を開始して必要を感じた機能の追加や修正事項について開発・ 運用指導
7回目
小日程管理システムの完成と運用、今後のシステム拡張について指導

● 支援後の改善状況
 これらの支援を通じて、見積・受注・工程管理・山積状況について理路整然と情報を入出力することができ、経営管理能力が向上した。また、受注入力時、見積または過去の受注データの検索をして、現在の山積みの状態から今回の加工パターンを選択して、作業指示書を出力するのが特徴である。また、見積または過去の受注データの詳細情報の閲覧や図番に関わる留意事項等の Word 文書、 Excel データ、図面情報、製品や治具写真等の画像を自由に参照できるようになっている。

メニュー

作業支持書
【メニュー】
【作業指示書】(受注入力後の印刷指示)

機械別作業累計時間表
【機械別作業累計時間表】5週間分の週単位機械別山積み累計時間のExcelグラフ

  上のグラフは、経営者・管理者が全ての保有設備について、5週間分の週単位機械別山積み累計時間を把握し、納期回答や工程の見直しを検討するためのものである。左のグラフは現場担当者が各機械別の5週間分の週単位機械別山積み累計時間を把握するためのものである。両グラフとも、稼働率により週ごとの棒グラフの色が変る仕組みになっている。
   
● 今後期待される効果・成果
 見積・原価管理、受注入力、作業指示書出力、週単位機械別山積み累計時間( 週単位山積表 )の出力、実績入力の一連の流れが完成している。見積原価と実際原価の差も明らかになり、次回の見積に反映させることが可能となり、利益の確保に効果が期待できる。また、各機械の稼動状況と納期から今回の受注をどの機械の組合せで作業指示するのかを見積・過去の受注履歴から容易に検索し決定することができるので、作業指示の的確さと迅速化が期待できる。さらに、作業指示書には、同一の図番での過去の受注履歴を通じての留意事項が必要に応じて出力され、現場での「3ム」の軽減とノウハウの蓄積による品質向上が期待できる。週単位機械別山積み累計時間がグラフでわかりやすく表示されることにより作業者と作業指示者との情報共有化が実現し、全社一丸となって納期遅れを回避する体制と今後さらに 生産計画をはじめ受注出荷管理、進捗管理など生産管理の概念を導入して、合理的な工場運営へと発展していくことが期待される。
(本文は、中村州男氏の報告書を引用)