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プラットフォーム 2008年4月号 No.247
平成19年11月に着任しました菅沼成文です。産業保健の中でもじん肺、アスベスト肺などの職業・環境性呼吸器病の研究、途上国における地域保健が主なテーマです。じん肺のデジタル胸部画像については企業と共同研究を行ってきました。秋丸国広、弘田量二両講師ら教室スタッフが長年培ってきた分子生物学を用いた環境因子の生体影響測定の技術を結合した研究も展開しています。

私たちは、シリカ、石綿その他の有害粉じんを吸入した個人や集団を追跡調査しています。その際に、最もよく用いられる検診ツールは胸部画像です。この胸部画像は今やデジタル化が進み、データの様々な加工や分析が可能となっています。世界標準のILOじん肺エックス線分類の普及と共に我々が国際共同開発した職業環境性呼吸器病のためのCT分類(ICOERD)の応用研究を進めています。前任地の福井大学(主任:日下幸則教授)で富士通、松本徹客員教授(福井大学)と共同開発したICOERD Viewer ver.1はじん肺などのCT分類の研究・教育用のビユアーで半定量的な判定を初心者にも可能にします。これを発展させ、エックス線装置メーカー、情報システム企業、他大学の工学部などと協力してじん肺の自動判定装置の開発を進めているところです。

職業・環境性呼吸器病は空気中の浮遊粉じんを吸入することが原因となります。その粉じんの性質により、気管支喘息のようなアレルギーや慢性炎症を起こしたり、じん肺のような不可逆性の線維化を起こしたり、発がんを引き起こしたりします。これらの機序を説明するために動物モデルや培養細胞を用いての実験を行っています。現在、農学部や金星製紙、カンキョーと共同でアレルギー疾患の発症予防のための空気清浄機や浄水器用フィルターを開発しています。また、他大学や国立がんセンター研究所と共同で職業性の石綿曝露者を対象に中皮腫・肺がんなど職業・環境性の悪性腫瘍を早期発見するバイオマーカーの開発と実際応用を進めているところです。

第一次産業や第二次産業が主である途上国においては日本が経験し克服してきた感染症や職業病が未だに蔓延しています。私たちは長年ILOじん肺専門家としてタイ、ベトナム、インドネシアの厚生省から招聘されILOじん肺講習会を行い各国がWHO/ILOけい肺撲滅計画に則り国家計画を策定するのを助けてきました。その結実の一つがタイで実現しようとしているAIR Pneumo(アジアじん肺読影医養成プログラム リーダー:日下幸則教授)です。これは現地の厚生省や医師達と共に講習内容、能力判定試験を開発し、講習会を定期的に実施し専門家を養成しようとするプログラムであり、ILOも支援を表明しています。
また、今春入学したコンゴ人大学院生のNgatu Nlandu Roger医師が自ら高知県で立ち上げたRDコンゴ子供基金を基盤に故国コンゴ民主共和国で展開する保健・農業・教育のサブユニットからなる「平和村プロジェクト」を持続可能な地域自立支援プロジェクトとして科学的に検証していきます。モデルとする村に学校を創り、農園で作物を育て学校給食を提供しながら、住民に農業を教えて経済的に自立させる。そして、保健センターを拠点に移動診療所で地域の実情にあった保健サービスを提供するというものです。農学部と教育学部を擁する高知大学で蓄積してきたノウハウを合わせて、現地の人材育成と技術移転に貢献できれば素晴らしいものに成ると期待しています。
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