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プラットフォーム 2009年2月号 No.257

おーい!会員さん

 株式会社相愛は1956年に相愛工業として創立以来、ボーリング調査から設計・工事・地域計画などを通して地域社会への貢献を目指し、それによって長年培ってきた高い技術力と信用を背景に、建設業不振の昨今においても、多様化する社会のニーズに対応した質の高い安定したサービスの提供を目指している。
 『地域社会の持続的発展』をキーワードに、環境の保全・新たな価値創造を基軸にしたいくつかの新規事業を展開している中で、今回は、今年1月に環境省が制度化するカーボンオフセット用のCO2排出削減・吸収量創出モデル事業に採択された、同社の新事業について紹介する。

持続可能な地域社会の 実現に向けて

 我が高知県では、温暖な気候を利用したビニールハウスによる施設園芸が盛んで、また一方では森林面積率が全国一と、林業にとっての資源も豊富であるという側面も併せ持つ。しかしながら、林業については国内産木材価格の低迷により衰退の一途をたどり、またハウス園芸では加温の際、大量の重油を燃焼(高知県重油消費の5%)させており、地球温暖化への影響はもとより、重油・肥料・資材の高騰による施設園芸農家の苦境といった、今までの高知県経済の屋台骨とも言える一次産業の衰退が危惧されている。
 「枯渇しない循環・継続可能なものをエネルギーとして活用し、『エネルギーの地産地消』をしていかなければいけない」という想いから、日本有数の森林県である高知県ならではと言える木質バイオマスに着目、それを燃料にした施設園芸ハウス加温用のバーナーの開発に着手した。
 未利用の森林資源をエネルギーの供給源として新たに価値付けを行い、施設園芸農家へ重油の代替燃料として安価・安定的に提供する一連のサービスの構築を目指している。

展示会での燃焼実演状況「木燃MN−12F」

木質ペレットバーナーの開発

 重油代替エネルギーを利用した燃焼装置は既にいくつか世に登場していたものの、いずれも高額な装置ばかりで、農家が実際に導入に踏み切れないのが実状であった。そこで、同社ではハウス加温機のバーナー部分に特化し、現在農家が使用している熱交換器やその周辺機器はそのまま使用することを開発コンセプトとし、農家の初期投資低減を目指した商品開発を進め、試行錯誤の末、完成に至った。
 開発したバーナーは、形状・性質が比較的安定している木質ペレットを燃料としたガンタイプバーナー。仕組みとしては、燃料タンク(容量5〜10立方メートルのサイロ)に貯蔵された木質ペレット燃料をバネコンベヤー方式の搬送装置でバーナー内に送り、燃焼させることによって発生する炎(熱エネルギー)を従来の加温機同様、熱交換器を介して温風に変換しハウス内に送り出すというもの。夜間は無人となる園芸ハウスの暖房が目的であるため、運転制御はすべてコンピュータプログラムによる自動制御となっている。
 本製品の定格出力は12.8万kcal/hであるが、使用される熱交換器や園芸ハウスの規模、栽培作物にあわせた出力(cal)の調整が可能。木質ペレットを燃焼室でガス化し、三次燃焼まで行うことにより、完全燃焼を促進させている。また、燃料中に硫黄分を含有する重油と異なり、燃焼から熱交換の過程で硫黄酸化物が発生する心配がないため、排ガスの温度を下げることが可能であり、結果として加温機としての熱交換効率を高めることが可能となっている。

システム導入事例 高知県芸西村 20aピーマンハウス

高知バイオマスファーム の取組み

 『高知バイオマスファーム』は、海と山に囲まれた自然豊かな高知県安芸郡芸西村でハウス園芸に取り組む農事組合法人。組合員はそれぞれ、ピーマンや花(トルコギキョウ)、ナスを栽培しており、相愛が平成18年度に芸西村で木質バイオマス加温装置の実証実験を始めた当初から、加温能力に関しての要望や、ときには開発に際してのアドバイスをもらうなどの協力関係にあった。平成20年度からは「重油から脱却し、環境にやさしい農業を」との想いで、今回開発した木質ペレットバーナーを活用し、新たなハウス加温にチャレンジすることを決意した。
 このチャレンジに際し、環境省の進める「自主参加型排出量取引制度(CO2排出を減らす取り組みをしている団体に費用面などを支援する制度)」に申請し採択。この制度により『高知バイオマスファーム』は2005年度〜2007年度の過去3年間のCO2平均排出量(約870t―CO2)に比較して2009年度には300tのCO2を削減することを約束している。
 現在、本格的な加温時期を迎え、導入ハウスについてはほとんど重油を使うことなく順調に加温できているが、何より「朝、重油を燃やしたときの嫌なにおいでなく、木の香りのたち込めるハウスに入ると気分も違うんです」とメンバーは語ってくれた。高知県の農産物に低炭素作物という大きな付加価値がつき、ブランド品として市場に出回ることも遠い将来の話ではない。

高知バイオマスファームのメンバー

Global Mind - Local Action

 大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムが限界に達しつつある今日、社会全体の枠組みは大きく変わりつつあります。既成概念が変革に向けての動きと激しくぶつかりあう現象が社会のあちこちで現れているなか、地域での企業活動においても地球軸での思考が必要であると確信しています。
 時代のニーズを地球規模で見極め、独自の発想力と技術力で地方に大きく根を張り、地域から存在を支持される「相愛」を今後も目指していきたいと考えております。

メンバー所有の園芸ハウス(トルコキキョウ)