情報プラットフォーム 2009年7月号 No.262

ぷらっとウォーク

歴史民俗博物館のような我が家

 

山田の我が家へお出で下さった方の最初のコメントは「珍しいものがありますね」「これは懐かしい」「これは何ですか」などである。私たちの答は、例えば「これは唐箕(とうみ)です。手動風力選別機です。玄米と籾殻の重さの違いを利用して風で分離するのです」となる。ある会社の資材置き場にその唐箕は転がっていた。焼却炉に入る寸前で救い出した。防腐剤を塗ったその唐箕は道からよく見える場所に、庭の点景として置いてある。

庭仕事をしていると、見知らぬ人が車を止める。「こんな使いみちがあるち。大豊の実家にあるき、ついでの時にもってきちゃお」と言って下さる。唐箕は自己増殖をするらしく、このようにして4台に増えた。手押し式回転除草機、こまざらえ(鉄製の熊手、またはレーキ)、背負子、竿秤が3本、挽き石臼が1個、搗き石臼と杵が2組、大鋸(オオガ)などが庭のあちこちにアクセントを付けている。今、探しているのはは千刃こきである。魚を活かしておくための大きな「いけす籠」が斜面登り口に吊してあり、定置網の設置に使うガラス製の浮き球(びん玉)は大小合わせて10個以上にもなっている。

家屋解体の前に「欲しい物があったらもっていきや」とのことで出向いた。池に沈めてある水苔で覆われた太い土管を頂いた。水苔を掻き落とせば、焼きむらが見事な土管が現れる。建材業の知合いは「土管が工事用資材やのうて、芸術品になっちゅうやいか」と言ってくれる。使い方は様々で、工夫次第である。

以前から、家内は古いミシンの鋳鉄製の脚にガラス板を載せて、生け花の台として使っていた。国産ミシンのその脚はデザイン性に欠けるので気になっていた。私の記憶に鮮明に残っているのは、シンガーミシンであり、それは母の嫁入り道具であった。生け花台としての優雅な使い道には唐草模様の足、網目模様の踏み板でなければ風情がない。念のために、掘詰電停近くのミシン店に保存展示してあるシンガーミシンを二人で見に行った。

吉良川町の家並みから外れた畑に、農機具の置き台となっているその脚を見付けた。近くに居たお年寄りに土地の所有者を尋ねる。地主さんから借りているおばあちゃんを捜し当てた。彼女は「あての嫁入り道具やったし、・・・。大事にしてくれるやったら」との答えである。網目ペダルもクランク回転のガードも欠落している。日本製ミシンの部品を流用し、ミズスマシのような商標のある網目模様のシンガーの脚が見事に復元した。

居間には大川村木星会製作の杉材の長尺のサイドボードがある。棚の下は2つの大きな土鍋や皿鉢の皿の飾棚でもあり、収納場所でもある。上面には東急ハンズ大賞受賞者作の様々な樹種で作った小鳥たちが群がっている。重量感のあるケヤキの食卓テーブルは真ん中にショウケースを持っている。そのガラス天板の下の飾付けは季節毎に変わる。例えば秋には、須崎市安和の竹虎製の虫たちが並んでいる。香北町のyujin工房製作の重みのある鍛鉄製の燭台はサイドボードの趣をクリスマスに換えてくれる。ガラスの笠が3つの天井吊り照明、振り子のチクタク時計、受話器フックがある壁掛け電話機などが目に付く。ランタン型をした日本船橙製の石油ストーブは、明るく照らして暖かさを増している。

チャンスがあれば、「何か懐かしいものはありませんか」と尋ねている。今一番欲しいのは、「となりのトトロ」でサツキが、呼び水で水汲みしているあの手押しポンプである。

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