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財団法人 高知県産業振興センター
高知県中小企業支援センター
枝垂れ桜、枝垂れ桃、枝垂れ柳
国分寺のしだれ桜は今年も見事だった。枝先が軽く地に触れるように竹の支柱で保護してあり、それが優雅さを増している。挿し木からの枝垂れ花桃が我が家の裏斜面に植わっているが、少し高く仕立てたいと添え木をしている。ところで、「ヤナギは枝垂れ」と思い込んでいたが、旧物部村の神池の大ヤナギはそうではなかった。「枝垂れ」についてさまざまな疑問が出てきた。本文は文献やパソコン検索での調査結果の中間報告である。
疑問1)
日当たりを求めて、上へ上へと伸びることが絶対の植物(*1)が枝垂れるのは何故だろう。
調査結果
海から陸に上がった植物は「木」として進化する一方で、戦略を変えて別な環境に適応して「草」になった。幹(茎)の構造は、頑丈に作るか、迅速に作るかの折合いで決まる。茎は、根からの水の運搬と体の支持の役割を持つ道管(または仮道管)、そして光合成した糖類を配送する師管からなる維管束が主役である。細胞が連なった道管は細胞壁を木質化し強いパイプになる。木質化とはセルローズなどがリグニンで固められたもので、炭素繊維強化プラスチックの釣り竿に例えられる。「草」はリグニンの補強が少ない。
枝(片持ち梁)は自重を支えるために、成長しながら枝の付け根で、下支え型(圧縮アテ材)または吊り下げ型(引張りアテ材)の部材補強と、リグニンまたはセルローズの成分補強が行われる。このため、斜面に立つ木も同じであるが、横枝の年輪は上または下に偏心する。それぞれが針葉樹または広葉樹に特有とされている。しかし疑問が残る。材の利用からではなく、樹木の生存戦略からの検討が必要と思われる。なお、枝垂れ枝は、成長に対して補強が間に合わない結果であり、年輪は同心円と推定される(*2)。枝垂れる形質は劣性の遺伝で、種子から同じものが出るとは限らない。枝垂れ性の強いものほど脆弱であり、自然界では殆ど成木になることは難しい。人間の趣味・趣向で保存され、挿し木・接ぎ木として増やす。美しい曲線を保つには上向きの芽を残してすぐ先を剪定すると良い。
疑問2)
樹種に関係なく、樹木はすべて枝垂れる可能性があるのだろうか。
調査結果
落葉広葉樹では、桜、梅、桃、ヤナギを始めとして、栗、桂、桑、カラタチ、エンジュ、白樺、ブナ、ニレ、サンザシ、カエデ、サルスベリ、ハナズオウ、ムクゲ、エゴなどがあり、そして常緑広葉樹では、ツバキ、サザンカなどがある。裸子植物(針葉樹)では、松、トウヒ、ツガ、カラマツ、コウヤマキ、シーダーなどがあり、そして裸子植物(イチョウ目)に枝垂れイチョウがある。以上、すべての樹木は枝垂れの可能性を持つと言えそうである。しかし、園芸種が目立つことから、人の関与が大であると想像できる。
ここで、特徴的な枝垂れを選ぶ。長野県辰野町の枝垂れ栗は、自生する天然林を作る極めて珍しい例である。静岡県浜松市引佐町の源平枝垂れ桃は、八重咲き(*3)でもある。また、それぞれの地域の子供達が拾ってくれた桜の種子が宇宙旅行をしている。高知県からのひょうたん桜と稚木の桜の2種を含む全国14種類の桜の中で、枝垂れ桜は、福島県三春町滝桜、秋田県仙北市角館枝垂れ桜、それに京都市祇園枝垂れ桜と3種を数える。
*2){年輪を刻む}、本誌、No.240、9(2007);
*3){八重咲き}、本誌、No.251、8(2008)を参照のこと。

