情報プラットフォーム 2009年10月号 No.265

ぷらっとウォーク

花伝説・宙へ!

高知新聞2009/9/8(火)の夕刊に掲載された(こうち・拳銃)さん作の「出放題」は秀逸である。「花伝説・宙(そら)へ!」の企画に相応しいユーモアに満ちている。

--宇宙桜の種帰還-- 早く花見がしたいもんだ! --(土佐)宇宙酒--
この前日の7日に、宇宙を旅した桜の種の返還式が、午前中は佐川町尾川小学校で、午後には仁淀川町大崎小学校で行われた。素晴らしいタイミングでの「出放題」である。

昨年5月28日に地域の小学校の児童たちが種拾いをした。高知からの2種類を含む北海道から沖縄までの13ヵ所、14種類の桜の種、そして子供たちの顔写真とサインを、スペースシャトルで国際宇宙ステーションに旅立たせたのは、昨年の11月15日である。連れ帰る役の若田光一さん搭乗のスペースシャトルの打ち上げが遅れ、帰還する日も7月31日になった。その分だけ種たちの宇宙滞在の期間は8ヶ月半と予定より長くなった。

仁淀川町と佐川町に共通する第一のキーワードはもちろん「桜」。仁淀川町桜地区の「ひょうたん桜」は樹齢500年の高知で最大の巨木である。牧野富太郎が佐川町尾川で発見した「稚木の桜(ワカキノサクラ)」は、実生から発芽して翌年には花を付ける。宇宙桜14種の中で最初に咲く桜である。仁淀川町には市川家しだれ桜と中越家しだれ桜もある。秋葉祭りの行列が練り歩く道でもある。佐川町の桜の名所は青源寺近くの牧野公園である。

第二のキーワードは「牧野富太郎」である。佐川の造り酒屋に生まれた博士は、桜に恋をしたらしく、日記の中で桜に関する記述が100を超えている。佐川町の「ワカキノサクラ」は博士が命名した1つである。そして、生涯に命名した植物は約2,500種。仁淀川町中津明神山の「ヤマトグサ」、同じく鳥形山の「トリガタハンショウズル」、そして両町の間に位置する越知町では横倉山の「ヨコクラノキ」を地域の代表として指名しておく。

第三のキーワードは「仁淀川」である。石鎚山を源流とする本流は、V字谷を刻みながら仁淀川になる。仁淀川町、越知町、佐川町をまとめて「高吾北地域」と呼んでいる。牧野博士の植物研究のフィールドである。日本で最も古い地質の横倉山、石灰岩の鳥形山など地質学的な特異性が、特徴的な植生を生み、それが希有な植物学者を育んだのである。

他に先駆けて咲く佐川の宇宙桜。その花見酒には仁淀川水系の伏流水仕込みの「司牡丹」の宇宙酒が相応しい。それ以降の花見は18種類の土佐宇宙酒から好きなのを選べばよい。

このプロジェクトには「天女の羽衣も、かぐや姫も、誰かが書いて、今に伝わっています。本当のお話から楽しい空想が広がり、長い時の中で伝説になりました。・・・そんな未来を想像して、宇宙旅行した花の物語・伝説を作って下さい。そしてちょっぴり、宇宙の勉強もね。」とある。

高吾北地域には伝説・伝承が多い。横倉山の安徳天皇潜幸伝説だけではなく、平家落人伝説はこの地域一帯にあり、武田勝頼落人伝説までもある。池川神楽、安居神楽など地域に残る伝統的な行事も多い。夢を育む楽しい伝説を宇宙桜を契機に作り出そう。地域の再生・活性化につながり、集落の「限界」の歯止めの一助になれば面白い。

北は北海道旭川市の「チシマザクラ」から、南は沖縄県名護市の「緋寒桜」までの14種類の苗木を相互に交換し、日本各地に宇宙桜公園を作りたい。そして子供たちの情報交流の輪が広がり、日本中に羽ばたく壮大な伝説が作り出せたらと思う。

ご感想、ご意見、耳寄りな情報をお聞かせ下さい。鈴木朝夫<s-tomoo@diary.ocn.ne.jp>