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財団法人 高知県産業振興センター
高知県中小企業支援センター
「売上を上げろ!」では利益は上がらない。
~ 今一番知りたい事が見て解る ~ 【中編】
- 日時:
- 平成22年2月16日(火)
- 場所:
- ぢばさんセンター研修室1
- 主催:
- (財)高知県産業振興センター
e商人養成塾
講師
東海林武道具店 東海林 一義 氏情報プラットフォームの前号に引き続き、ネットショップ 運営支援講座の概要を紹介いたします。
売上1000万円の仕組み
オンラインショップマスターズクラブ(OSMC)で素晴らしい先輩にお会いしました。「売上が500万円行ったんですよ。次は1千万円ですね。どうやったら1千万円になりますか?」と言うと「うち見に来な」って言うんです。すっごいマニュアルを全部見せてくれました。例えば、パソコンやパートさんをたくさん使っていて、発送個数によって時間単位で梱包する人数を変えるんです。梱包の現場、データベース…全部全て見せてもらいました。売上が1千万円になっても大丈夫な仕組みはそこで学びました。じゃあ、倍にするにはどうしたらいいかなと思ったんですね。
爆発はない
もう一人、すばらしい出会いがありました。その方に、聞いたんですね。「俺って、いつ爆発しますかね?」って。そしたら、軽く言うんです。「爆発なんてないよ」って。その時「はっ」と思ったんですね。有頂天になっていた。半年で500万円売れるようにはなったのだけれど、やることはやったつもりではいたんだけれど、そんなに甘くはない。一個ずつきちんとその後も階段を一個ずつ積んでいく以外、方法は無い。一回買っていただいたお客さんにもう一回買ってもらう。ただ、それしかないんですよ。
武道具店では、隣の子どもがいきなり剣道をやり始めるってあまりないわけですので、一回お客さんになってもらった人にまた買っていただく。竹刀を買っていただいたら、次は剣道着を買っていただく。剣道着を買っていただいたら、次は袴を買っていただくと、やっと剣道の防具を買っていただくとかということになって行くんです。
あ、やっぱり売上を倍とか10倍とかに考えるのは無理だ。まず一個一個もう一回最初からやろうと思いました。
ソーシャルネットワークサービス
ネットショップをやっていて、辛いと思ったのは、やはりお客さんの顔が見えないことです。普段は電話一発で私に来て、「誰某だけど、何持ってきて」で終わるんですね。お互い信頼関係があるからそういうことが出来るんですよ。ネットではなかなかそうはいかない。
そのあたりに登場したのが、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)(注1)です。ミクシーとかが出始めてまだ何万人とか何十万人までいってない時でしたが、あ、これだと思いました。独自のSNSを作り、良いお客さんをその中に入っていただいて、普段ブログを書くように日記を書いて、お付き合いさせていただいた。大体200人位いになったんですが、この人たちは、普段買い物するよりもっと高いのを買ってくださる。一番近い武道具屋さんよりもっと近い関係ですから。しかも、これは地域に関係ないんですよ。
こんなことがありました。ある外資系企業の支所長さんに子どもが4人いらっしゃって、全員剣道をやっている。その息子さんが日本に帰ってきた時に「今、成田に着いたんだけれど、お宅に行きたいんですが、どうしたらいいですか?」「ああ、羽田を出て秋田空港に着いたら、私、迎えにあがりますから」と言ったら、朝電話が来たのに、もう3時くらいにはうちに居るんですよ。
海外の大学生らを20名連れてうちに来た方もいらっしゃいます。その時は、私も日光まで行って日光観光をして、秋田までご案内しましたが、皆さんは、うちで防具をつくるのが楽しみで来た。インターネットで買うことが目的じゃない。うちに来て買うことが楽しい。うちの親父に会うことが楽しみ。満足気に来るんですよ。そういうことがソーシャルネットワークで起こり始めたんですよ。いや、これってすごいなと思いました。
- ※注1 SNS:
- ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)人と人とのつながりを図るコミュニティ型のWebサイトのこと。コミュニケーションを円滑にする場を提供したり、趣味や嗜好、居住地域、友人の友人などを通じて人間関係を構築する会員制サービス。
剣道具業界の市場規模
武道具の総需要は、昭和40年代がピークでした。私は昭和42年生まれなので、私の子どもの時というのは町にいっぱい剣道をやる人がいて、その当時日本中全部集めると200億円の売り上げだったそうです。ところが、3年前の平成18年くらいで40億円を切っちゃったんですよ。子どもの数も少なくなりました。また、剣道の道具が、当時は一組6万円とか10万円とか20万円とかしたんですが、それが今、一組3万円しないんですよ。価格が下がって客数も減っている。40億円しかない市場に日本中の武道具屋さんが実は600軒もあると。
剣道具屋さんて、うちもそうでしたけれど、大体10坪くらいなんですね。10坪くらいのところにおじいちゃんとおばあちゃんがいたりとか、お父さんとお母さんがいたりとか、あとちょっと気の利くところは、営業担当者を数人抱えてガーッと車で行って営業をする。小さな市場を皆で取り合っている。私もお世話になった剣道具屋さん関係の方々がいらっしゃるんですけど、皆苦しいんですよ。恐ろしいほど苦しいんですよ。
情報とは
私の人生を変えた人の中に西順一郎先生という方がいらっしゃいます。昭和13年生まれのウチの親父と同じ年。どうしてこんなに違うんだろうというくらいかっこいい。この方が私に言いました。「情報とはね、もともとどれもがデータなんだよね。でもね、データを見てても何も始まらないんだよね。データはなければいけないけど、何も始まらないんだよ。それを人に伝えるためにちょっと形を変えるのさ。そうすると、同じデータが人にちょっと伝わりやすくなる。でもね、それではまだまだなんだよね。そこまでは普通にする。それから先がインテリジェンスなんだよね」って。昭和13年生まれの方ですよ。
その方が言うんです。「情報は、シンプルでなければいけないよね。いっぱいあってもだめなんだよ。欲しいものだけあればそれでいい。余分は必要はない。トータルでなければいけないよね。少なくてシンプルな中に出来るだけ詰め込まれてなければいけない。真実は。利用ありきで、見る人にあわせた情報でなければいけない。自分だけ知っていてもいけないんだよ。見る人に合わせた情報でなければいけない。そして、ビジュアルでなければいけない。絵とかマンガじゃないとだめ。子どもでもわかるように、あんたのお母さんにしゃべってわかるように絵とかマンガにしなさい。だから、コンピュータでやらないで手で書きなさい」と。
移動平均
売上でも何でもいいんですが、当月のデータに過去11ヶ月分のデータを加えた直近1年分(12ヵ月分)の累計値を移動年計といいます。これは、季節の変動などの短期的な変動が吸収されますので、対極的な傾向を見ることができます。
これを12で割ったものがムーブメントアベレージ、日本語にすると移動平均です。
これをグラフにします。このグラフから読めることは、上がっているか下がっているか。それだけでいいんです。
このグラフを様々なもので作ってみます。粗利や、部門別、PPCごと、アイテムごと、メルマガごととか、商品別とか…。
商品の推移をみていると、その商品のライフサイクルが分かるんですね。商品というのは必ずライフサイクルがあり、必ず落ちるんですよ。そして消えていく。この地点が分かるんです。そこで、うちの場合はここでやめるんですよ。
それで、新しい新商品を入れる。この繰り返しなんです。これを、「この商品まだまだ売れるんじゃないの」と思っていると落ち始める。代わりのもの準備してないでしょう? 手の打ち様がない。
うちでは、これを仕入れ先別にもやっています。お願いしても出来て来ない。考えられないことですがあるんですよ。上がってるか下がってるかだけでわかりますから、残念ながら下がってきたら代わりを考えるしかないんですよ。
| 2008年 | 2009年 | ||||||||||||||
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 | 4 |
| 2008年の売上合計 | |||||||||||||||
| 2008年2月~2009年1月の合計=2009年1月の移動年計 | |||||||||||||||
| 2008年3月~2009年2月の合計=2009年2月の移動年計 | |||||||||||||||
PPCは集中的に
要は上がるか下がるか単純にそれだけで意思決定をする。その意思決定に必要なデータというのは、どこにありますかということです。マクロとミクロ、外側から見るのと内側から見るのとですね。
PPC(【前編】を参照)をやって集客はしたけれども効果が出てない。それではやらないほうがいいですよ。
PPCをやって効果をもっとのばしたい。そんな方はやったほうがいいですよ。
ただ、だらだらと1ヶ月、2ヶ月やって成果が出ないまま1ヶ月、2ヶ月やると、そのままお金を捨ててるわけですよ。
PPCのデータには外の状況があるんですよ。自分に関係なくても、キーワードを実行しておけば、一番下にしておいてもインプレッション数というのがわかります。検索されている数というのが実際リアルにわかるんですよ。要は、それの需要があるかということがわかるんですね。売れる商品に伴った需要があるかということがわかるんですね。全部、コンバージョンをとるためにPPCをやるだけではない。そのへんに人が探している需要があるかということがよくよくわかるんですよね。
そのためには、1万円とか2万円とかでポロポロやっていては掴めません。やっぱり3ヶ月ぐらい20万円、30万円、40万円、ドンと使うんですね。使う方は、商品によっては200万円~300万円、ある某はんこ屋さんは500~600万円使っているんですね。それぐらい使えば、大体世の中の検索数というのは、ほぼ確実にわかる。商品によってでしょうけれども、使う時は20~30万円は覚悟して使われたほうがいいだろうと。ただ、その分は簡単に取り返せます。
アクセスログ
もうひとつは、アクセスログですね。これも使わないともったいないです。要は、あやふや、どうかなーという勘の勝負がなくなるんですよね。ただ、気を付けなければいけないのは、業界全体皆、これを使うようになってきているということですね。人と同じということです。人が人のデータを見て人と同じことをする。儲けるためには人と違うことをしなければいけないので。
原始記録を利用する
ミクロの情報として自分のカートに入ってくる情報というのがあります。個人情報もありますし商品情報もあります。これを要はシンプルに取り込めていますか?
カートのデータをダウンロードもしくはそれをカート屋さんにお願いして、フォーマットを切って必要なものだけ取り出す。うちの場合は、商品ごとの日にちを指定して、いつからいつまでの商品ごとの粗利額というと、それを取り出せる。
もうひとつは、原始記録です。インターネットでご商売されて、売り上げがたつ、何がたつとかってやりますけど、最終的に会計報告という仕訳しますよね。決算書を作るために仕訳するんですよ。これでやっと終了なんですよね、商売は。会計ソフトに取り込める形になっていますか?
経費を考える
経費の中には、いろんなものがあります。こうやってお勉強する教育研究費とか、後は新商品を作るための研究開発費とか、後はPPCとかメルマガやる広告費とか、チラシを作ったりする広告費とか…。これは、別個に考えたほうがいいですよね。
業績上げたいよねというと、よく経費削減っていうんです。これ違うんですね。
(1)人件費
人がいるんだったら人を使うことを考えたほうがいい。人を。採用するじゃないですか。「よし、おまえ決めた。うちで頑張れ」と採るんです。その段階でこの人はここまで出来ますよということを自分で認めたことですよね。それ以上のことを望むべきではないんですよ。教育せずに。教育したら望んでもいい。採った段階、採用した段階でそれ以下のことをしたら叱るべきです。採った段階で出来なかったことを出来ないからといって叱るべきではない。そのためには、人に教育することが必要です。
(2)研究開発
商品は開発、ライフサイクルを考えてやるんです。最初に出した商品の売上がピークに来る前に次のものを開発しなければならない。そこにお金を使ってますか。
(3)宣伝広告
そして、PPCとかメルマガとか。ここは削るべきではない。使えば使うほど儲かる。
原価計算はするな
私が受けた研修で原価計算はするなというのがありました。うちの仕入れっていくらって、ちまちまちまちま計算する人がいるんですよ。で、これには送料がかかって、副材料費がかかってる場合は、あれはそれは…、何で製造原価を調べなければいけないのに、販売管理費をもってくるんですかとか…これって、いくら計算しても儲かりませんよ、ということなんですよ。
結論として、一倉先生は仰います。「原価計算はするな」と。何の役にも立たない。するのは収益、積みあがる収益を計算しなさい、と言います。
心をつぎ込む
では、何をするかというと、仕入れた原材料に自分の心をつぎこむわけですよ。新商品を開発する時に。この原材料に加工をほどこす。加工をほどこす技術やデザインとか並び方とかを自分で研究して研究して研究して積み上げて商品にする。自分の心の価値です。これが本当のその商品の価値でありプライスなんですね。価格なんです。
その商品は値引きできません。周りからライバルが出て来た時に、ああ、やられた。真似された、じゃあ、うちは先にやってるから1円下げようとか2円下げようとか。数量は伸びますよ。でも、プライスというのは頑としてその値段で売ると決めたんですから、くずしたらいけないんです。これが、正しい価値をお客様に伝えること。
ところが、ここにきて最近おかしい。デフレ、デフレ、デフレ、デフレ…落ちていくんですね。
(以下、次号に続く)
