情報プラットフォーム 2010年7月号 No.274

特集 高知の夏 定番商品

横畠冷菓 昭和40年代の味を今に届ける
[高知のアイスクリン]

高知県佐川町の造り酒屋の漆喰壁や味わい深い趣のある町並みを眺めながら進むと、「横畠冷菓」の工場がある。ここで「アイスクリン」の製造を行っている、代表の2代目である横畠和夫さんからお話を伺った。

◆創業

「自転車の荷台にブリキ製の保冷ケースを載せて、はやりのアイスキャンディーを販売する」。こんな販売スタイルで、先代の社長が、横畠冷菓が創業したのは、昭和30年代初頭。現在まで営業を続けているのは、横畠冷菓だけだが、佐川町内にもそんな同業者が何軒もあったという。

同社は、アイスキャンディーに加えて、昭和40年代に「アイスクリン」の製造を開始している。

高知にもモータリゼーションの波が押し寄せ、アイスクリンの販売も、自転車での販売から、自家用車を利用する人に販売を行う方法に変わっていった。流通が便利になり都会の大手メーカーの様々なアイスクリームも入ってきた。それでも、高知の夏の定番は「アイスクリン」だ。

◆アイスクリン

アイスクリンの作り方を知っているだろうか?

お店により、それぞれの秘伝の製法があるだろうが、一般的な「アイスクリン」は、脂肪分の少ない乳製品を主原料に卵や砂糖、香料などを加えて製造する。横畠冷菓では、当初はバニラ味のみだったが、現在では、チョコや抹茶、ストロベリーなど7種類とバリエーションが増え色々な味が楽しめる。いずれも食感は「シャリシャリ」としてあっさりとした味が特徴。何個でも食べられそうな、昔懐かしい、素朴な味が堪能できる。

◆地元素材を活かした新商品

「こんな素材を生かした商品はできないか?」。自治体や生産者の方々と交流していると様々な声が挙がってくる。地元の食材を生かした特産品を作って欲しい。そんな要望を受けて試作を繰り返す中で、商品開発を進めてきた。

これらの成果は、「アイスクリン」、「ふる~つシャーベット」などに生かされている。そのほか、高知県の特産品である「生姜」や「甘酒」を使用したアイスも製造している。今では評判となっている商品も多い。

◆店舗での販売

商品開発には、お客様の声が大切。そのためには、人の集まる場所に出店することが必要と考え、道の駅や展示会、イベント会場での実演販売等を行っている。中でも、須崎市の「かわうその里すさき」では、3代目となる息子さんの奥さんが店長として直接販売を行っている。お客さんの反応は? との質問に、「さっぱりした味が受けている。人気は、やはりアイスクリンで、県外客から“送ってくれ”との注文が多い」とのこと。

◆ふるさとの味

全国各地での展示会でアイスクリンを出展すると、高知県出身者が懐かしがって訪れてくれ、とても励みになる。展示会場で高知県外の人からは「アイスクリームの間違いでは?」という質問もあるというが、一度味わってもらうとその違いを含めて納得してもらえるという。また、高知県出身者は、「アイスはこれでないといけない!」と言ってくれる。この声を聞くと出展して良かったと思うという。

◆今後の展開

夢は、工場の拡張。製造工程が見学できて、作りたてのアイスがその場で食べられる、そんな施設にしたい。今の工場では、息子さんが製造を担当している。3代目夫婦のコンビがつくる、消費者の声を反映した新商品の開発に期待がふくらむ。

伝統の味を守りながら創意工夫を活かして、全国に高知の特産品を生かしたシャーベットやアイスクリンが大きく広がっていくことに期待したい。

■横畠冷菓 〒789-1202 高知県高岡郡佐川町乙1838-3
TEL・FAX 0889-22-0172