情報プラットフォーム 2010年8月号 No.275

特集 土佐・龍馬であい博を活かす!

大河ドラマ館
ゆすはら維新の道社中を訪ねて
梼原町

7月上旬、土佐・龍馬であい博のサテライト会場「ゆすはら維新の道社中」を訪ねた。高知インターから車で1時間40分、途中、津野町の道の駅でゆっくり休憩しても約2時間弱の行程だ。

大河ドラマ館

大河ドラマ館は、梼原町の中心部でランドマークとなっている梼原町総合庁舎の向かい側、町立歴史民族資料館を使って開催されている。展示テーマは「駆ける!」。

坂本龍馬が同志澤村惣之丞とともに維新を夢見て、この梼原の韮ヶ峠を越え、土佐から伊予に脱藩したことは知られている。ここ梼原町では、この脱藩の道案内をした那須信吾をはじめ、多くの勤王の志士を輩出している。那須信吾は土佐藩の参政吉田東洋の暗殺に加わり、その直後に脱藩し天誅組に参加して挙兵するが、戦死。維新を夢見て脱藩した梼原ゆかりの志士の多くは、戦死または自決という形で二十歳代の短い生涯を駆け抜けていった。

展示の内容は、大河ドラマ「龍馬伝」に関するコーナーに加え、梼原・回天の道コーナーとして、梼原出身の志士の群像をテーマに、梼原が維新回天に果たした役割や、文化的な風土が判りやすく紹介されている。

また、2階には町内から収集された江戸末期からの民族資料を展示しており、龍馬が脱藩のために駆け抜けた当時の梼原の人々の暮らしぶりに触れることができる。

職員のお話では1月のオープンからの入場者数は4万5000人を超えているという。そのほか、来年1月10日までの土佐・龍馬であい博の期間中、龍馬や梼原出身の志士ゆかりの史跡をガイドが案内する「脱藩の道ウォーク」や、土日祝日に地元の方々が特産品や農産物を持ち寄って販売する「脱藩市」、土日に(各月1回)行われる「津野山神楽」の公演などがあり、これらの催し物の情報はドラマ館の受付や、隣にある土産館のインフォメーションコーナーで聞けば担当者が丁寧に教えてくれる。

茶堂の文化

梼原は山深い地でありながらも、旅の要所として多くの旅人を受け入れてきた。梼原のあちこちには茶堂と呼ばれる東屋が残されているが、この茶堂では昭和30年頃まで、地元の人々が持ち回りで旅人にお茶をふるまって接待し、交流を行ってきた文化があった。龍馬が梼原を脱藩ルートとして選んだ背景には、当地に勤王の志士が多かったという理由もあるが、こういった梼原の旅人を厚遇する文化があったのではないだろうか。

ポスト「龍馬伝」

ポスト「龍馬伝」についてお話を聴こうと梼原町役場の環境推進課地域振興係の下村千佳さんを訪ねた。

ここで、梼原町役場のある総合庁舎に少し触れておくと、雲の上のホテルの設計を担当した隈研吾氏の設計・監理協力によるもので、町産材の杉を使い、太陽光発電システムなどの省エネ設備を備えている。平成18年10月に完成した寄せ木細工のような外観は特徴的で、まさに梼原町のランドマークとなっている。

ポスト「龍馬伝」では、NHKの理解を得られれば、今の展示館の展示をできるだけ残し、従来からある古民具などと組み合わせて歴史民俗資料館の展示内容が充実できればと考えているという。

従来から梼原町は環境モデル都市を目指した「まちづくり」を行っている。太陽光や風力など自然エネルギーを利用した施設が町内各所に設置され、現在町内で使うエネルギーの3割をまかなっており、2025年度までには100%を目指しているとのこと。環境にやさしい、住む人にやさしい「まちづくり」を推進することで、町外からの交流人口を増やしていければと考えている。

国道440号線の拡幅に伴い、町中心部の町並みも、ゆったりとした和風の町並みに生まれ変わっている。地芳トンネルが開通すれば松山方面との時間的距離も大幅に短縮し、この方面から梼原町を訪れる人も増えると期待している。

町の駅「ゆすはら」

その町の中心部440号線沿いで、この8月中のオープンを目指す「町の駅ゆすはら」の建築工事が追い込みにかかっている。町役場と同じく隈研吾氏の設計で1階は町内の各区の特産品やJA津野山、友好交流都市の西宮市の特産品を販売する直販市場で、2階・3階は雲の上のホテルの別館となっている。

この計画の中心になっている梼原町商工会事務局長の川田俊一郎さんの話を聴いた。川田さんは旅行会社勤務からホテルマンを経験し、3年前に今の職に招聘された。町の駅事業は平成21年度まちづくり交付金事業として取り組んでいる。増やした交流人口を如何に町の経済活性化につなげるかが、商工会(振興協同組合)のテーマ。「おもてなしの宿場町」づくりを目指し、その重要なツールとなるのが町の駅のホテル部門の「マルシェ・ユスハラ」である。シティホテル並の部屋でビジネスホテル並の料金を設定。町の中心部に建設した最大の目的は、観光客や宿泊客に生まれ変わった町並みを歩いて散策してもらうことで「梼原の魅力を知ってもらい体感していただくこと」、そして経済に繋げること。レストランがないのも、お越しいただいた方に敢えて町中のお食事所を利用してもらうことで、地元のものを味わってもらうことができ、商工会員が潤うことにも繋がるから。来る人も住む人も笑顔になれる取り組みである。「龍馬伝」は絶好のPR機会であり、現に脱藩の道のガイド付きのツアーが旅行会社に注目され、東京方面からも引き合いがあるとのこと。四国のツアーコースに宿場町梼原が組み込まれることを目指している。

梼原の歴史文化や自然、環境を守る取り組み、なにより古くから受け継がれている旅人をもてなす茶堂の文化が訪れる人々の共感を得て、まちづくりの活性化に繋がることを期待したい。

■ゆすはら維新の道社中 〒785−0610
高知県高岡郡梼原町梼原1428番地1
TEL/FAX 0889−65−1187
URL http://wwwa.pikara.ne.jp/shachu-y