情報プラットフォーム 2010年10月号 No.277

特集 生姜関連産業

里山から発信!思いをジンジャエールに込めて 財団法人 夢産地とさやま開発公社

高知市中心から、車で約20分。北に工石山陣ヶ森県立自然公園、南に北山県立自然公園が広がり「平成の名水百選」に認定された鏡川の源流域である高知市土佐山地区。この自然豊かな土地で、地元原材料にこだわったジンジャエールが販売されている。その名も“鏡川ジンジャエール01プレミアム”。昨年11月に高知市で開催された「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジ in 高知」で試飲してもらい、好評を得た。その後、改良を重ね自信をもっておすすめする商品に仕上がった。

販売を始めたのは、財団法人夢産地とさやま開発公社。平成4年に旧土佐山村などが設立した財団法人で、堆肥の生産や直販所運営、地元農家約100戸の農産物の販売のほか、自らもショウガなど安心安全な野菜の有機栽培に取り組んでいる。「地域の取り組みを多くの方に知ってもらう商品としたい」と意欲を燃やす同開発公社の藤村事務局長にお話しを伺った。

こだわりショウガは土づくりから

“鏡川ジンジャエール01プレミアム”に使われているショウガは、地元原材料というだけではない。大変な労力と手間と、なにより生産者の方々の熱い思いが込められたショウガなのだ。

そのこだわりは、まず、BMW技術による肥沃な土づくりからはじまる。BMW技術とは、〈B=バクテリアの働きで、M=ミネラルバランスに優れた 生き物にいい、W=水を作ります〉の略で、自然の自浄作用を応用し、バクテリアの働きによって有機廃棄物を高品質な堆肥にしようというもの。畜産物の排泄物や、農薬で土壌汚染が深刻化するなかで、環境負荷がなく、人体への影響もない、近年注目されている農法のひとつだ。同開発公社は、設立された当初から「とさやま土づくりセンター」を立ち上げ、地域生産者約111人で構成される「モコモコグループ」で、有機無農薬栽培を推進している。

有機農法が認められ有機JAS取得へ

この、有機土壌でショウガの栽培を手掛けるのが、地域を興して環境一体型農法を推し進めるパイオニア、同開発公社の大㟢裕一理事だ。軽自動車がなんとか入っていける山道を進みながら、山の中腹にあるショウガ畑へと案内された私達は、日頃の作業が決して楽なものではないことは簡単に想像できた。農薬を使わないため除草や病害虫の駆除などは全てが手作業、真夏の日中の作業は大変なものだ。それでも、「地道な取り組みですが、この農法に理解をしてくれる生産者の仲間や販売店の方に支えられながら、少しづつ販売量を増やすことができています」と大㟢理事。ショウガは、有機栽培が非常に難しいとされる作物だが、地道な活動と強い熱意が実って、平成21年7月には農林水産省より「有機JAS」の認定を受けた。

思いをジンジャエールに込めて

こうして作られたショウガが、いよいよジンジャエールに加工される。加工を受け持つのは「生活学舎桃土」の車さんご夫妻。ジンジャエールとなる原液の製造を受け持たれており、普段は、ショウガや文旦、梅などの地元原材料にこだわったジャムやゼリーなどを販売、素材の風味が生きたおいしさに得意客も多い。

「地元で採れる安全な素材を使った商品はどれも自信作ですよ。自分達は地元産じゃないけどね」と気さくに話をしてくれる車さんは、息子さんが10年前に土佐山で農業研修を受けたことが縁で県外から移住された方だ。その言葉からは、土佐山と地元の素材を愛してやまない気持ちが伝わってくる。こうした多くの方の思いが一致して、“鏡川ジンジャエール01プレミアム”は誕生したのだ。ショウガの風味をより引き出すため、地元産のユズ、タカノツメを加え、平成の名水百選に選ばれた鏡川源流水で、じっくりと旨みを煮出して原液が作られていく。その原液に炭酸をゆっくりと充填していき、ジンジャエールとなるわけだ。現在は300㎖入りを週に300本という生産ペースであり、直売所であるバル土佐山や日曜市の公社の店、コンセプトに賛同してくれる生活協同組合等で販売している段階だが、今後は年間を通じて倍量の生産をめざしている。

有機の里からの発信

「生産者が、独自に加工品を作り、流通販売も展開していく形は、第3セクターだからこそできる非常におもしろい取り組みだと思います」と藤村事務局長。商談、配達、農作業、店頭販売と多くの業務をこなす藤村さんも昨年就任した時は、戸惑いの連続だったという。藤村さんは、高知市職員で就任前は行政マンとして、主に役所内での勤務をされていた。それまで、農業のことも知らないし、経営ということも素人。「この1年間、地元の方からいろいろなことを教わりました。土佐山は、大消費地である高知市の中心部にも近いのでチャンスも大きいと思います。第三セクターにしかできない柔軟性で、地域の発展に貢献していきたいです」と話してくれた。

取材を終えて、“鏡川ジンジャエール01プレミアム”を実際頂いてみた。よく飲まれるショウガの香り付けをしたのみのジンジャエールとは全くちがい、ショウガの風味とタカノツメのピリっとした味が、ユズのさわやかな香りと絶妙にマッチして、男性にも女性にもおいしく頂けると思う。

ぜひ、地域の熱い思いとともに、召し上がっていただきたい。

■財団法人 夢産地とさやま開発公社 〒781−3211 高知県高知市土佐山高川873−1
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