情報プラットフォーム 2010年10月号 No.277

特集 生姜関連産業

生姜職人が作りだす健康と美の素西村青果株式会社

独特の味や効能を持ちながら、薬味から惣菜、菓子にいたるまで多様に利用されている生姜。全国一の生産量を誇る高知県で、生鮮生姜の販売や加工を中心に約60年、地域と共に高知県の農業に貢献し続けている企業、西村青果(株)が、いの町にある。

個人経営から全国区へ

昭和26年、先代が生姜・里芋の仲買から創業を始めた西村青果(株)。現在では、生鮮生姜の販売を中心に生姜や蕗の自社栽培、柚子やにんにくの加工など幅広く手掛けている。

生姜の加工を始めたのは現社長に代変わりした頃の昭和60年。従来より取引があった静岡県のオーケー食品(株)の技術指導により、おろし生姜の製造を開始。その後オーケー食品(株)は焼津水産化学工業(株)のグループ会社となったが、このことが西村青果(株)にとって更なる転機となった。

取引相手が、大手スーパーや全国区のコンビニチェーンなど、これまでと状況が一変。より厳しい衛生環境が求められるようになり、既存の施設では対応できず、おろし生姜の加工場を新設することになった。ノウハウがないため基本設計は焼津水産化学工業(株)の指導に従った。「まだ若かったから、言われるままにしました」。西村社長は笑うが、これが社長の人柄。しっかり将来を見据えての経営判断であることは言うまでもない。

生姜は高知県の特産品

以前、生姜と言えば中国産におされていた。高知県の生姜農家は、利益が上がらないうえ高齢化、後継者不足問題を抱え、減少傾向にあった。しかし中国産冷凍野菜から基準値を超える残留農薬が検出されたことを発端に、国産生姜の需要は急増。農家だけでは供給しきれなくなったため、卸業者は自社栽培を行うことで減少した農家の生産をカバーした。同社が自社栽培を始めたのもこの頃である。

生姜は消毒が多い、とよく言われる。春に植えて秋に収穫する生姜は夏に虫の被害に合うことが多く、一定の収穫量を確保する為にはどうしても消毒が必要となる。しかし近年は先の中国野菜問題でも分かるとおり、高い安全性を求める消費者が増えているため、平成15年より同社は減農薬・減化学肥料での特別栽培を開始、更には、志を同じくする地元の農家と共に「高知まるひら会」を発足した。現在は、従来通りの慣行栽培と減農薬・減化学肥料の特別栽培の両方を行うことで、より安価なものを求める消費者と高価でも減農薬のものを求める消費者、双方の要求に応じている。消費者のニーズに応え続けることは高知県の農業にとって重要だと言える。

というのも最近では、関東地方でも大生姜の栽培を行うようになってきたのである。これまで関東地方が栽培していたのは、寒い地方でも育てられる小生姜(はじかみなどで食される)。温暖化が生姜市場での高知県の地位に及ぼす影響を最小限にとどめるために、生産者達は頑張っている。

魅力的なドリンクの開発

女性にとって魅力的なドリンク「ほっと美じん」が、今年8月から県内スーパーなどで販売されている。ピンク色のパッケージに包まれたペットボトルの中には、高知まるひら会が特別栽培した生姜液と沖縄県産の黒砂糖、体に吸収されやすい低分子のマリンコラーゲンが入っている。こだわりは1本280㎖の中に1000mgというコラーゲン量。その独特の匂いも味もなく、生姜を存分に味わうことができるこのドリンクは、甘すぎない黒砂糖と少しのトロミがまろやかさを出して、味、成分共に満足度の高い商品に仕上がっている。

「本業じゃないから、ぼちぼち売れてくれたら」と言う西村社長だが、コラーゲンは数ある中でも最も効果が期待できる良質のものを、ペットボトルはそのまま熱湯に浸けて温めることのできるものを、と1本約300円という価格は決して高くないと思わせるこだわりぶり。

これまでOEM商品を製造してきた同社が初めて自社ブランドで販売するこの製品は、社員にとっても士気が上がる魅力的なドリンクになっている。

緑の豊かな自然に囲まれた仁淀川沿いにある西村青果(株)。穏やかな環境と朗らかな社長、そして多くの人々の手によって丁寧に出荷される生姜は、これからも日本の食生活に欠かせない存在であり続けてもらいたい。

■西村青果株式会社 〒781−2126 高知県吾川郡いの町大内315
TEL 088−892−0157 FAX 088−893−2312
http://www16.ocn.ne.jp/~maruhira