情報プラットフォーム 2011年6月号 No.285

ぷらっとウォーク

旅する蝶、北米大陸と日本列島

長距離の渡りをする蝶と言えば、北アメリカのモナーク蝶(オオカバマダラ)が有名である。冬になると、ロッキー山脈の西側の個体群は、暖かいカリフォルニアのモントレー付近に南下する。東側の個体群はメキシコに南下し、集団で越冬することで有名である。その移動距離は3000kmにも達する。カナダを含む北米で、3~4世代交代した後、夏が終わる頃にはひたすら初めての越冬地へ向かって旅を始める。北上の時は羽化してから1カ月程の寿命であるが、南下して越冬するときは10カ月もの寿命になる。なお、メキシコの越冬地の8カ所ほどが生息圏保護区に指定されている。

オレンジ色に黒の筋のある派手な文様の翅からオオカバマダラの名が、その豪華さからモナーク(帝王)蝶の名が付いた。赤みを帯びた黄色をカバ色(蒲色or樺色)と呼ぶ。蒲(がま)の穂のような色、または樺(山桜のこと?)の幹のような色である。幼虫の食草は、北米のどこにでも生育しているミルク・ウィード(トウワタ)であり、その名のように葉から白い乳液を出す。ガガイモ科の植物が持つアルカロイド類を体内に蓄えて毒化する。

日本ではアサギマダラが唯一の長距離を移動する蝶である。オオカバマダラの食草と同じように、白い乳液を出し、毒性の強いアルカロイド類を含んでいるガガイモ科植物のキジョラン、イケマ、オオカモメヅルなどが幼虫の食草である。また、羽化すると、アルカロイド類を含むヒヨドリバナやフジバカマの花で吸密をする。4~5月頃から数回の世代交代をしながら日本列島を北上する。前翅に黒と栗色に縁取られた淡い水色の半透明の模様から、浅葱(アサギ)の名前がついた。浅葱色とは、藍で薄く染めた空色である。

香南市や香美市の小学校の生徒たちと共に、龍河洞スカイラインの終点にある秋葉山付近で、挿し木で増やしたヒヨドリバナやフジバカマを移植する。「アサギマダラの里in秋葉山」の会(問い合わせ先は090-1005-5581山崎)が助成金を受けての発足である。花が満開を迎える秋に、そこに集まる蝶たちのマーキングを通じて、自然に親しもうとの計画である。咲き誇る秋の花々の上を蝶が乱舞している。タオルを大きく振ると、後を追いかけるように現れてくる。面白いように捕まえられるが、マーキングしようとすると、死んだようにおとなしくなるのが可愛らしい。「再捕獲、いや、もう捕まるなよ」の思いで、1頭の蝶を高知の青空に放つ。捕獲した人の記号と連番、場所、日付を翅の透明感のある浅葱色の部分に油性ペンで記入する。記録表には、大きさ、性別(交尾or未交尾)なども記入する。アサギマダラには鱗粉がほとんどないので油性ペンでのマークは簡単で、その後も消えることはない。再捕獲で渡りの詳細が次第に明らかになる。昨年は秋葉山から台湾まで1735km、40日をかけての移動が報告されている。大勢の人々が、一緒に生態や行動を調べることで、自然の不思議さに対する感動の輪を広げることができる。

また、白髪の鬼女のような実を持つキジョランを増やそうと移植を行っている。

葉に白く縁取りされた小さな孔がある。葉の裏側を見ると、黄色の斑点、紫の縞模様の幼虫がいる。蛹になり、羽化して北へ旅立つのだが、謎だらけの渡りの仕組みに思いを馳せる。

蝶と高知とくれば、長旅はしないけれども、黒と淡青色の気品のある蝶、ミカドアゲハを忘れるわけにはいかない。その生息地、潮江天満宮・要法寺・潮江中学校が国の特別天然記念物に指定されている。ここには幼虫の食(樹)葉となるオガタマノキがある。

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