情報プラットフォーム 2011年6月号 No.285

特集 お茶関連産業

茶畑から育てた
プレミアムな茶畑プリン
株式会社 池川茶園

はじめに

新芽がまぶしい段々畑の茶畑がぐるりと集落を取り囲み、清流仁淀川の流れがお茶栽培に欠かせない川霧を運ぶ。5月の茶畑は一年で最も明るい。早朝、山中社長が自宅のカーテンを開けると、一面の霧に覆われた光景が目に飛び込む。「今日もおいしいお茶ができゆうねぇ」。思わずうれしくなってしまう瞬間だ。

ペットボトル茶の需要は頭打ちとなり、手間をかけ急須でお茶を淹れることも少なくなってきた昨今、茶葉の買取価格は下がる一方、農家を取り巻く現状は厳しい。そんな中でも、池川茶業組合の茶葉は連年農林水産大臣賞を受賞するなど、県内ではトップレベルの高級茶である。それを支えるのはお茶栽培に恵まれた風土とともに、研究熱心な生産者のこだわりだ。「いいお茶を作らないかんという思いが高じて、話し合いもけんかしてるみたいなんです」山中社長は話す。

高知にお茶があるの?

昨年、龍馬伝ブームで賑わう高知駅とさてらすでは土佐茶のPRのための試飲会が行われた。しかし、観光客の率直な感想は「高知にお茶があるの?どこに?」

予想はしていたものの、池川の地で先祖代々お茶づくりにかかわってきた生産者にとってはショックな言葉。あらためて実感する知名度のなさ。何とかして自分達を、池川茶を知ってもらいたい、その思いはふつふつと湧き上がる。

「池川はこんなに茶葉はあるのに、それを生かした商品がない、お茶以外におみやげものがないね」。そんな地元の声もあり、「最高の茶葉でつくるお菓子だからこそ、地元の直販所で売るだけのものじゃなくて、思い切って高級路線を目指してみよう」。町の企画課長にも背中を押され、池川のお茶の知名度アップもねらって、お茶農家による本格的なお茶スイーツの開発プロジェクトがスタートする。

お茶農家の手作りプリン

町には商品開発の受け皿となるカット野菜等の生産施設を持つ㈱フードプランがあり、両者の連携プロジェクトとして昨年度当センターにおいて農商工連携事業化支援事業に採択されると、商品開発は加速する。

当初は焼き菓子をイメージしており、ケーキやパイ等、試作した数種類を持って、最新スイーツが集まる東京で女性を対象に試食会を行ったところ、プリンがダントツの評価を得ることに。そこで、これまでにないお茶農家の手作りプリンとして開発を進めることとなる。

とはいえプロジェクトのメンバーはお茶農家の奥様方。商売の経験もなく、パティシエでもない。もともと縁があった香南市菓子工房コンセルトさんを専門家として迎え、一からプロに学ぶ日々。「手間と時間はとにかくかかりました」。自分たちはお茶のプロだからこそ、お茶に関してはゆずれない。かぶせ茶(ネットで被覆し直射日光をさえぎって渋みを抑え、うまみを出したお茶)をプリンにあうお茶として原料に選定し、お茶の苦みと味のバランス、舌ざわりや口どけ、色の透明感、最も茶の香りを引き出す抽出時間など、ひとつひとつ課題を克服する作業が続く。1年以上かけ、何度も何度も試行錯誤を繰り返してきた結果、納得のいくかぶせ茶とほうじ茶プリンが完成する。茶農家が茶畑から丹精込めて、知恵を絞ってつくった手作りプリン、茶農家だからこそ出せる味を楽しんでほしいという想いを込め「茶畑プリン」と名付けた。

「普通のプリンは甘さが口に残り食後コーヒーがほしくなったりしますが、茶畑プリンはこくがあってもさっぱりとした後口が特徴です」。

商品開発と同時に、高知県主催の弥太郎商人塾でビジネスプランも学び、この春プロジェクトメンバーのお茶農家6名で商品開発部門を独立させ、株式会社池川茶園として法人化を達成する。四季折々の仁淀川の風景が楽しめる川沿いの絶好の場所に工房も完成し、今後お茶カフェを工房に併設する計画だ。池川茶園第1号のお茶スイーツ、今年の一番茶でつくった「茶畑プリン」はいよいよ6月末新発売だ。

株式会社 池川茶園

☎ 0889-34-3100 ■所在地/〒781-1606 吾川郡仁淀川町土居甲695-4 ■URL/http://www.ikegawachaen.jp