情報プラットフォーム 2011年6月号 No.285

特集 お茶関連産業

―本場の本物―
 日本で唯一 幻の「碁石茶」
碁石茶 (高知県大豊町)

はじめに

日本では珍しい微生物発酵茶である碁石茶。昔から続いていた製法が脈々と受け継がれ、一時は消えかけた伝統を生産者や自治体が一体となって発展させる活動をされているという。

2007年には財団法人食品産業センターの地域食品ブランド表示基準制度に基づく「本場の本物」として「大豊の碁石茶」が認定され、碁石茶(大豊町碁石茶協同組合)も全国食品ブランドの仲間入りを果たし、第23回高知県地場産業賞も受賞している。

新商品の発売など、これから販売や消費拡大を目指す取り組みについて、大豊町産業建設課にお話を伺った。

歴史と伝統

高知県大豊町で作られる碁石茶の歴史は古く、今から400年ほど前から製造されており、そのルーツはお隣、中国雲南省から渡ってきた酸茶と言われている。江戸時代には土佐藩を代表する生産物の一つとして献上品にもなっており、土佐国史料集「南路志」にも「本川郷碁石茶上品也」という記述が残されている。

しかしその当時、碁石茶は塩分を含む井戸水との相性が良かったため、多くが瀬戸内の沿岸部や塩飽諸島などに出荷されており、地元土佐藩ではほとんど流通していなかった。

その後、生産者は大正時代には緑茶生産、昭和の高度成長期には林業や土木業などに転業し、昭和末期には日本でわずか1軒となっていた。

引き継がれる伝統

昔から胃腸に良いと言われる碁石茶。そんな愛好者の期待に応えるため細々と技術を伝承して生産していたが、大学の研究調査結果などから近年の健康ブームにも乗り、健康飲料として全国から脚光を浴びて、一時期は生産が追いつかないほどの人気商品となった。

大豊町では、この人気に応えようとして急遽増産をしたものの、製法をまねただけの生産では本来の品質を守ることは難しく、このことが秘伝といわれる碁石茶本来の製法の重みと大切さを改めて気付かせてくれた。

このため、たった1軒残った生産者の協力のもと、新たに参入する人や生産を再開する人などが伝統的な製造技術の指導を受けるなど、一度は失いかけた幻の珍茶「碁石茶」の発展に力を注いでいくこととなった。

碁石茶の魅力

碁石茶の最大の特色である穏やかな酸味は、永い間受け継がれてきた原料と伝統製法へのこだわりによって生まれている。

これは、地元で採れた完全無農薬の茶葉を材料に、「蒸す」「カビ付け」「漬け込み」「天日干し」という独特の工程を行う中で、昔ながらの二段階発酵により植物性乳酸菌が十分に熟されることによって自然な酸味が生まれており、日本では他に類を見ないもの。

また、碁石茶という名の由来は、漬け桶から切り出した茶葉をならべて天日干しする光景が、あたかも碁石を敷き詰めたように見えたことから付けられたといわれている。

こうして夏の暑い盛りにかけて生産される碁石茶には、動物性乳酸菌よりも大きな効果をもたらす植物性乳酸菌が豊富にあり、それらが胃腸に働きかけて人体に良い効果を生むといわれている。

5月14日は「碁石茶の日」

碁石茶のいただき方は、お湯で煮出して酸味や香りを楽しむだけでなく、お米と一緒に炊く「碁石茶ご飯」や、煮出した茶葉を使った「茶粥」などで食しても楽しめる。

このうち碁石茶の飲み方は、お湯で煮出していただくだけであったが、いつでもどこでも飲めるお茶とするため、今年5月14日の「碁石茶の日」に合わせて「碁石茶顆粒スティック」を発売するとともに、碁石茶石鹸や碁石茶飴などもネット上(土佐の風)などで販売を開始している。

また、東日本大震災により発売が遅れたが、7月中旬には本来の味と香りが損なわれないカートカン(紙で作った缶と同形態の容器)を使用した碁石茶ドリンクも販売を始める予定であり、より多くの方が手軽に碁石茶を楽しめるようになる。

大豊町産業建設課の大石補佐は、これまで以上に取り組みを進めていくとともに「品質を守ること。そのためには継続して製造工程の検証を行っていくことが重要」であると言う。先人が守り続け、幻といわれた秘伝のお茶「碁石茶」。伝統を守り、真の地域食品ブランドとなるよう今後に期待する。

大豊町碁石茶協同組合

☎ 0887-73-1818 ■所在地/〒789-0250
長岡郡大豊町黒石343-1
■URL/http://www.town.otoyo.kochi.jp/tokusan/

大豊町農業センター

☎ 0887-73-0978 ■FAX/0887-73-1004
■所在地/〒789-0250
長岡郡大豊町黒石343-1